いずれにしても、松本、小籔ら吉本芸人を中心に、2019年はますますテレビタレントを使った改憲のための世論誘導が行われていくだろう。吉本だけではない。昨年にはついにネトウヨ番組『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に出演したつるの剛士や『ニュース女子』のMCでもある西川史子なども注視すべきだ。
しかも、気をつけなければならないのは、こうした芸人たちの改憲発言は炎上することなくフリーにどんどん流される一方、同じタレントでも護憲を主張する発言は、「政治発言をするな」と総攻撃を受けて、テレビからほとんど消えてしまう可能性が高いことだ。
実際、ウーマンラッシュアワーの村本大輔や星田英利など、安倍政権を批判した芸人たちは抗議が殺到し炎上、テレビから干されているが、安倍政権を擁護するほんこんや千原せいじ、ロザンの宇治原などは、お笑い芸人としては終わっているにもかかわらず、逆にどんどん売れっ子になっている。
これは、炎上を仕掛けているのが、安倍シンパのネトウヨや右派メディアで、テレビがそれに過剰に怯えているということが原因だが、この構図は改憲をめぐっても、再現されるはずだ。
護憲発言は「政治的」と封じ込められ、安倍首相の望む改憲を援護する発言だけがどんどん大きくなっていく。そんな状況になるのは確実だろう。
さらにこうした状況に拍車をかけそうなのが、CMの問題だ。現行の国民投票法では改憲案の国会発議翌日から国民投票運動期間(60〜180日)が設けられ、投票日の2週間前まで投票勧誘のCMが可能。しかも、それ以降も「賛否を勧誘」しないCMならば放送できる。当然、CMは資金と広告代理店の力がモノを言うが、民放連は賛否の量的規制を「事実上困難」と否定している。つまり、豊富な資金力を持ち、電通というパートナーを得ている安倍自民党が、有名タレントを起用して大々的なCMを打ってくるだろうことは容易に想像がつく。
小藪千豊やつるの剛士が「私は憲法改正に一票入れます」などと宣伝するテレビCMがひっきりなしに流されるなんてことも十分ありえるだろう。
その意味では、改憲論議の前に野党が要求しているCM規制は絶対に不可欠だが、CMが規制されたとしてもこれまで語ってきたように、芸人たちが出演する情報番組やワイドショーじたいが改憲PRになる可能性は高い。
安倍首相が改憲施行を明言した2020年まであと1年となった今年は、わたしたち有権者にとって、ワイドショーや情報番組に出る芸人やタレントたちがどういった考えを持ち、誰を利する行動をしているかを、あらためて見定めるべき期間となるだろう。本サイトでは引き続き、こうした“改憲タレント”の動向を伝えていくつもりだ。
(編集部)
最終更新:2019.01.06 09:38