平沢勝栄公式サイトより
新年早々、またも自民党から性的マイノリティに対する差別発言が飛び出した。今度は平沢勝栄衆院議員が“LGBTばっかりになったら国は潰れる”と発言したのだ。
平沢議員は1月3日、山梨県でおこなわれた集会でこう述べた。
「LGBTで同性婚で男と男、女と女の結婚。これは批判したらヘンなことになるからいいんですよ。もちろんいいんですよ。ただ、この人たちばっかりになったら国は潰れちゃうんですよ」
さらに、平沢議員は「同性婚パートナーシップ証明書」を出している東京の渋谷区や世田谷区に言及し、「先進区だとか自慢しているが、私にはその考え方はよくわからない」と語ったという。
杉田水脈衆院議員による“LGBTには生産性がない”論文があれほど問題となったというのに、この無反省ぶりはどうだ。そもそも、“LGBTばっかりになったら国は潰れる”と言うが、昨年6月に厚労省が発表した2017年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1.43で過去最低を記録した一方、2001年に世界ではじめて同性婚を認めたオランダの合計特殊出生率は2002〜03年、2007〜09年、2014年に上昇。同性婚を認めている他の国や地域の合計特殊出生率を見ても、同性婚が出生率を低下させているとは到底考えられない。
むしろ、90年代に出生率が1.66まで低下したものの家族手当の充実や父親の出産休暇、託児所の増設などによって2006年に2.00まで上昇させたフランスの例を見るまでもなく、出生率に大きく影響するのは女性が出産後も働きやすい環境であるかどうかだ。
そして、こうした環境整備にまったく関心がないどころか、待機児童問題の深刻さを訴えた意見に対して噛みついてさえみせたのが平沢議員だ。
2016年に「保育園落ちた日本死ね」ブログが国会で取り上げられた際、平沢議員は「一体誰が書いたんだよ、それ!」とヤジ。さらに、釈明のために生出演した『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では「これ、ほんとうに女性の方が書いた文章ですかね?」「日本語としてちょっと汚いなって」などと言い出し、挙げ句、番組出演の直後に委員長として出席したヘイトスピーチの根絶を検討する「差別問題に関する特命委員会」の会合では「ブログに『死ね』という言葉が出てきて、表現には違和感を覚えている」と発言、あたかも「保育園落ちた日本死ね」というのがヘイトスピーチであるかのように語ったのだ。
言うまでもなくヘイトスピーチとは人種や国籍、性別など変更不可能な事柄を理由に暴力や差別的行為を煽動したりする発言のことであり、当然ながら「日本死ね」という政策批判がヘイトスピーチにあたるわけがない。「女性の活躍」を声高に叫ぶ一方、何も解決しない現状に「日本死ね」という絶望の言葉が吐き出された、その意味を何も理解していないどころか、平沢議員は問題の本質を姑息にもずらしたのである。
ようするに、平沢議員こそが少子化に加担する「国を潰す」元凶の象徴的存在だというのに、あろうことかそれを根拠もないまま性的マイノリティに転嫁するという下劣な差別発言をおこなったのである。
だが、これは平沢議員だけの問題などではけっしてない。こんな平沢議員を「差別問題に関する特命委員会」の委員長に据えていることからもわかるように、LGBTの問題しかり、女性の問題しかり、差別を容認する姿勢こそが安倍自民党の実態なのだ。