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蒼井そらが妊娠発表で「AV女優の子どもはかわいそう」の中傷に反論! AV女優たちについて回る理不尽な差別

 しかし、紗倉はこんな暴力的な差別にも、屈することなく、毅然と対峙している。

 前掲対談のなかで紗倉は「AVをやってる人間が自我を出したりすると、興奮されにくくなるとか、こういう映画が出ると『どんな気持ちでAV見たらいいんだ』っていう声もありまして、確かにその心理もすごくよくわかります」と客観的な状況把握をしつつも、だからといって「肉便器は黙って脱いでろ」などという意見には一切与するつもりはないと語る。

「それでもAVの表現と書き物の表現はやっぱり譲れないところが強い軸として心の中にあって。編集者の方とも、『ギャルっぽい口調に直すのやめてください』とか、バトルになるくらい話し合っています。自分が妥協したくないことと、世間が求める商品価値ってものすごく差があるなと感じながら」

 紗倉が文章を書く仕事をしている理由のひとつに、「AV女優という職業に対する世間からの差別意識をなくしたい」という思いがある。

 事実、映画『最低。』の記者会見に原作者として出席した紗倉は、記者からの「この作品の一つの意図として、AV業界で働く人々へのスティグマ(偏見・負の烙印)をなくしたいという意図はありましたか?」との質問に、「もともとそういう気持ちはずっと思い続けて、いまもそういう仕事をしているということもあるので。ずっと偏見はなくなればいいなと思っていたんですけれども。ある種AV女優も普通の一人の女の子なので。年間1000人以上の方がAVデビューしていると言われてるんですけれども、それだけいるということは、やはりそれだけの女の子の普通の日常もあるということで、そこを描けたらいいなという思いで本は書かせていただきました」と答えている。

 AV女優への差別と偏見、そして、AV女優自身がスティグマを感じずにはいられない状況があることは、多くのAV女優(“元”か“現役”かは問わず)の生活に暗い影を落としている。

 元AV女優・官能小説家・怪奇作家の肩書きをもつ川奈まり子氏は、本サイトが2016年に行ったインタビューのなかで、AV女優が普段の生活で受ける偏見や差別について、自らの体験談も交えつつ、このように訴えていた。

「AV女優たちの一番の悩みはヘイトクライムです。住んでいるアパートを追い出されるとか、仕事をクビになるとか、職場でイジメに遭うとか。会社でAV女優だった過去がバレてレイプされそうになったという相談すら受けたことがあります。
 私もライターとして連載させてもらっている媒体から『川奈さんがAVに出ているなんて知りませんでした。今後の取引は中止させていただきます』と言われたり、編集部は大丈夫でもスポンサーからNGが入って仕事がなくなったりと職業差別を受けてきました」

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