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天皇・皇后の外国人支援センター訪問の背景にある安倍政権の排外主義への危機感! ヘイトスピーチ、難民問題にも強い関心

天皇皇后両陛下(宮内庁HPより)

 来年4月いっぱいで退位する今上天皇と美智子皇后が、11月28日、静岡県への私的旅行のなかで、浜松市外国人学習支援センターを訪問した。

 浜松市には現在、約2万4200人の外国人が在住しているという。この外国人学習支援センターでは、市が〈日本人と外国人が、ともに安心して暮らすことができるまちづくり〉を進めるなかで、〈互いの文化や価値観に対する理解と尊重を深めるのが大切〉(ホームページより)という理念のもと、外国人のための日本語教室や、本人向けのボランティア養成講座などを開催している。

 報道によれば、天皇・皇后は日本語教室やボランティア講座を見学。ブラジル人やインドネシア人の生徒に「どうです、日本の生活は?」「日本の生活には慣れましたか」「大変だったでしょう」などと声をかけ、日本人ボランティアにも「日本の滞在が楽しいものになるよう、皆さんのご努力が大事ですね」などと話していたという。

 日本で生活する外国人たちが、安心して暮らせる環境の整備。それは、日本人が異なる文化を尊重するのはもちろん、積極的な支援なしには改善されえない。わざわざ私的な旅行のなかで同センターを訪問し、外国人らと直接話す機会を設けたことからも、天皇・皇后のそうした思いは明らかだろう。

 そして、このタイミングの外国人学習支援センター訪問は、やはり、国会でのあの件を想起せずにはいられない。そう、安倍政権が27日、衆院で強行採決させた出入国管理法(入管法)改正案だ。

 周知の通り、外国人労働者の受け入れを拡大する今回の入管法改正案は、「新しい在留資格をつくる」ということ以外はほぼ何も決まっておらず、受け入れ数や報酬の水準、日本語習得の支援や相談といった支援計画の中身さえ定まっていない。また、業種によっては100%が技能実習制度からの移行が想定されているが、これをめぐっては長時間労働や賃金未払いといった法律違反・人権無視が常態化してきた。ところが、安倍政権はこうした状況を見直さず、極めて短い審議時間で強引に衆院可決に持ち込んだ。この間、山下貴司法相と法務省による失踪した外国人技能実習生の聴取票をめぐる「データ捏造」まで発覚したにもかかわらず、である。

 今上天皇と皇后も、当然、こうした背景を熟知していたはずだ。もっとも、衆院での強行採決を受け、その強引な安倍政権の態度への“カウンター”として外国人学習支援センター訪問を決めたという見方は、さすがに日程的にありえないが、少なくとも、今回の私的旅行は、ふたりの要望を織り込んだものとされている。そして、天皇と皇后が、まるで安倍政権下での外国人排斥の動きに抗するかのような発言を繰り返してきたことは、れっきとした事実だ。

 たとえば、美智子皇后がヘイトスピーチ問題に心を痛めていることは、これまで複数の週刊誌で報じられてきたとおり。実際、皇后は節目でその思いを直接的な言葉にしている。昨年の誕生日に際した文書コメントでは、〈心に懸かること〉として、自然災害や原発事故からの復興ともに〈奨学金制度の将来、日本で育つ海外からの移住者の子どもたちのため必要とされる配慮〉をあげた。これは、在日コリアンの子どもらが置かれた政治状況を憂慮する言葉だが、とりわけ安倍政権下では排外主義、差別主義の風潮にのって、各自治体で朝鮮学校への補助金停止が相次いでいる。そのことを意識していないわけがないだろう。

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