Big Hitエンターテインメントの真摯な謝罪を受け入れた被団協は、抗議の声明は出す予定はないことを明らかにした。そして、被団協の木戸季市事務局長は「こうした表現を巡る問題では、対決や分断を煽るのではなく、対話を通じてお互いの理解を深める方が望ましい。核兵器とはどういうものなのか、何が問題なのかといった点を巡り、話し合いをしていきたい。BTS側にもそう説明し、一致した」と語った。
こういった一連の動きにより韓国叩きのための道具を失ったネトウヨは、ツイッター上にこんなグロテスクな言葉を書き連ねたのだ。
〈やはり広島被爆者団体の人も反日朝鮮人のようです〉
〈BTSの件、日本原水爆被害者団体協議会は抗議声明出さないようだな。やっぱただの政治団体だったか〉
〈原爆ナチス少年団こと防弾少年団のおかげで、また人権詐欺団体が発覚した。「日本原水爆被害者団体協議会」という団体らしい。ありがたいことだ。人権詐欺団体、ホント嫌い〉
要するに、彼らにとって「原爆被害者の心情」などどうでもいいのだ。「韓国ヘイト」に使えるものであればなんでもよかったということが、この矛盾からも明らかである。こんな言葉を平然と書き連ねるような連中が「BTSは原爆の被曝者に謝れ」などと言う資格があるのか。
もちろん、このケースではBTSにまったく問題がなかったわけではない。ジミンが着ていたきのこ雲のTシャツの主題は「韓国解放」であり、ネトウヨたちが騒ぎ立てた「原爆万歳Tシャツ」というのは歪曲だったが、それでも、無慈悲な兵器で多くの人々が殺された悲劇を顧みず原爆を肯定するかのようなデザインのものであり到底賛同できるものではない。この点に関してはBTS側に落ち度があった。
しかし、TWICEの場合はまったく別だ。問題となっているのは1年以上前にメンバーのダヒョンがプライベートで着ていたシャツ。そのシャツはMARYMONDという、収益を元従軍慰安婦の人たちの支援として寄付するチャリティーブランドのものだった。
MARYMONDのテーマは、戦時下に起きた性暴力の苦しみといまでも対峙し続ける女性たちに寄り添い、彼女たちの生活のサポートすることにある。女性の人権問題に向き合うことに「反日」の意図などどこにもない。MARYMONDのシャツを着るという行為は、彼女の社会意識・チャリティー意識を称賛されこそすれ、批判される筋合いのものではない。
つまり、TWICEはBTS騒動に味を占めたネトウヨが「韓国ヘイト」を垂れ流すことの正当化の材料として、無理やりもち出されているのである。