たとえば、韓国人や中国人へのジェノサイドまでをも主張するレイシスト団体「在特会」元会長の桜井誠氏は、11月5日に更新したブログで『ミュージックステーション』のスポンサー企業に“電凸”する旨を告知。また、〈桜井は個人的にこれらの企業に11月9日(金)のテレビ朝日の番組について、「貴社は番組に出演する韓国人グループが原爆Tシャツを着て、日本への原爆投下を祝っていることを知っているのか?」「日韓基本条約破棄判決が出たばかりの現在、国民世論が日韓断交で湧き上がっている中で、こうした韓国人を出演させることを是とするのか?」「貴社は反日企業なのか?」など問い糺したいと思っています。恐らく、こうした問い合わせは、桜井だけではなく日本中の心ある皆さんが行っていることと思います。日本人であれば、誰でも自分の国が好き、そこには左右の思想は関係ないはずです〉と書いて、同様の抗議行動を煽っていた。
桜井氏はさも原爆Tシャツに怒りを示しているかのように書いているが、桜井氏自身が、原爆被爆者の心を踏みにじってきたことを考えると、何を言っているのやらという感じである。
在特会はこれまで、原爆ドーム解体を主張したり、8月6日に核武装推進を訴えたデモ行進を行うなどしてきた。本当に原爆や核の問題を考えているというのであれば、問い糺されるべきは、ただ単に原爆の写真がプリントされていたTシャツを着ていただけのジミンではなく、桜井氏自身ではないか。
ようするに、「原爆Tシャツ」はBTSを攻撃するための口実として掘り出してきたにすぎず、BTSバッシングの本質は韓国ヘイトにほかならない。そしてBTS自体もまた、韓国を叩くための道具として利用されているに過ぎない。
少しでも現在のポップミュージックに通じている人であれば、東アジア出身のグループとしてBTSがどれほどの偉業を達成しているか知っているだろう。
BTSは『LOVE YOURSELF 轉‘Tear’』(今年5月発売)と『LOVE YOURSELF 結‘Answer’』(今年8月発売)を、連続でアメリカのビルボード総合アルバムチャート1位に送り込んだことで、世界中の誰もが認めるグローバルなボーイバンドとなった。
東アジアのグループが総合チャートでこのような成績を残すのはもちろん初めてのこと。さらに、BTSの偉業がすさまじいのは、これらのアルバムがすべて韓国語で歌われているということだ。英語以外の言葉で歌われたアルバムが総合アルバムチャートの首位を獲得したのは、イル・ディーヴォ『アンコール』以来12年ぶりである。
また、今年のBTSの活躍はそれだけに留まらない。9月24日(現地時間)には、若者の就学、技能訓練、雇用の確保を目指すためのパートナーシップ「Generation Unlimited」の発足イベントに出席。ニューヨークの国連本部でスピーチを行った。
BTSが目の敵にされている背景には、日本人ミュージシャンがこれまで誰もなし得なかったレベルの成功を収めていることへの嫉妬もあるだろう。