え? 生産性については撤回した? いったいいつ? どこをどういう解釈をしたらそうなるのか? 有働はVTRをちゃんと見ていたのか?
と、思っていたら、このコメントから20分くらい後、有働は神妙な表情で、カメラに向かって「先ほど、杉田議員の寄稿について、私が「生産性という言葉を撤回した」というふうに言ってしまいましたが、生産性という言葉については不適切だったことは認めて謝罪しましたが、撤回はしていませんでした。大変失礼しました」と訂正およびお詫びを述べたのだった。
どうやら視聴者から抗議電話があって、おわびすることになったらしいが、抗議以前にこんな発言をするほうがどうかしている。
なにしろ、杉田議員の発言を受けて、夕方以降、メディアは一斉に「生産性、撤回せず」とすでに報じていたのだ。いや、他のメディアだけではない。当の『zero』のVTR でも「杉田議員は言葉が不適切であったことは認めたものの、発言を撤回するかどうかについては明言を避けた」というナレーションが入り、「発言撤回か明言せず」というテロップも大きく映し出されていた。
にもかかわらず、有働アナは「生産性を撤回した」と伝えたのだ。これは、おそらく組閣のときの「適材適所」と同じで、「なんとか杉田議員をフォローしなければ」という気持ちが、反射的に「生産性発言については撤回した」というコメントになったとしか思えない。
ただし、これは有働が“安倍応援団”的あるいは“自民党寄り”の政治スタンスをもっているということではない。『zero』のキャスターに就任して以降、どんどん露わになってきている前述した有働の体質が引き起こしているのだろう。賛否の分かれる話題で自分の立場を明確にしたくない、権力の批判をするときは絶対に両論併記をしなければいけない、そういうNHK的な忖度体質がこうした明らかなまちがいまで生み出しているのだ。
しかし、これはNHKの朝の情報番組やバラエティなら許されても、権力をチェックすべき報道番組のキャスターとしては明らかに失格だろう。