そもそも佐喜真氏は、2012年の宜野湾市長選に立候補した時点ですでに沖縄県議としては唯一、「日本会議」のメンバーとして同会のHPでも紹介されるなど(しんぶん赤旗2012年1月21日付)、極右思想の持ち主だった。
たとえば、2012年5月に宜野湾市でおこなわれた日本会議系のイベント「沖縄県祖国復帰40周年記念大会」にも市長として出席。しかも、佐喜真氏も出席した2014年に開かれた同42周年記念大会では、那覇市首里にある「わかめ保育園」の園児らが日の丸のワッペンを胸に付けた出で立ちで登場し、「教育勅語」を唱和。佐喜真氏は閉会の辞のなかで「日本人として、日本人として、誇りをもつ。まさにその一言に尽きると思います。この42周年を機に、日本人としての誇りをもたなければならない」と述べている。
県民が捨て石にされ多大な犠牲を強いられた沖縄という場所で、園児に《一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ》と唱和させることのグロテスクさ。これに首長として疑問をもたないばかりか「日本人の誇り」を語る佐喜真氏。これだけでも氏がいかなる人物であるかがよくわかるが、さらに驚くのは、佐喜真氏が、沖縄へのヘイトスピーチを繰り出すネトウヨ・極右団体のイベントに参加しようとしていたことだ。
そのイベントとは、2016年1月に宜野湾市民会館でおこなわれた「宜野湾と沖縄の未来を考えるシンポジウム「日本一早い桜祭り」」。このイベントを共催したのは極右団体「頑張れ日本!全国行動委員会」(以下、「頑日」)で、同団体のHPには、「頑日」の幹事長で「日本文化チャンネル桜」代表取締役社長の水島総氏や、あの『ニュース女子』沖縄ヘイト回でVTR出演したほか数々のデマを垂れ流しつづけている“沖縄ネトウヨ”の代表格・我那覇真子氏や手登根安則氏らが登壇予定者として発表されていた。
が、なんとこの登壇予定者のなかに、佐喜真氏の名前が筆頭に挙げられていたのだ。
これは、佐喜真氏がネトウヨのイベントに参加しようとしていたというだけの問題ではない。じつは同イベントの共催である「頑日」は、2013年1月にオスプレイの配備撤回を訴えて沖縄の市町村長や議員らが東京・銀座をデモ行進した際、「「オスプレイ配備反対」に見せかけた亡国集団パレード糾弾!抗議街宣行動」を実施。このとき、沖縄の市町村長らがデモ行進するなか、沿道では日の丸や旭日旗を掲げた者たちが「売国奴!」「琉球人は日本から出て行け!」「中国のスパイ!」などという罵声を浴びせていた。
つまり、佐喜真氏はオスプレイ配備に反対して市長選に当選したはずが、オスプレイ配備反対デモを「売国奴」と攻撃する連中のイベントに参加しようとしていたのだ。結局、批判が集まったために参加を見送ったのか、イベント当日の模様を確認すると佐喜真氏の姿はなかった。だが、参加を予定していたことは、宜野湾市民に対する裏切り、沖縄県民への冒涜と言っていいはずだ。