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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第21号 

不当解雇しながら解決金を払わないブラック企業の姑息手口! 安倍政権「解雇の金銭解決制度」の真の狙いは

 Aさんから依頼を受けた私が会社に対し、拙速かつ不合理な解雇を撤回するとともに、文書による謝罪、バックペイ及び慰謝料の支払いを求める旨の内容証明郵便を送付すると、2週間後、会社の代理人弁護士から、「解雇は妥当であるが、Aさんの就労意思を尊重し、本件解雇を撤回する。ついては◯月◯日から出勤されたい」との書面が届いた。会社があれほどこだわっていたAさんの髪色の現状については一切触れられていなかった。まさに、バックペイ節約のための「方便的解雇撤回」であることが明白であった。

 そこで、私は、会社が本気で解雇を撤回する気があるのであれば、先行して解雇時点に遡って雇用保険及び社会保険資格を回復させる手続をとり、違法無効な解雇をしたことに対する真摯な謝罪と再発防止を文書で約し、バックペイを支払うよう要求した。しかし、会社側はこれを拒否し、出勤命令に応じない場合は懲戒解雇する旨告知してきた。

 Aさんの意向を確認したところ、会社に対する不信感が強く、「とりあえず復職」という選択肢は困難であった。そして何度かやりとりした結果、会社は、再三の出勤命令に応じなかったのは無断欠勤に当たるとして、第2次解雇に踏み切った。

 Aさんは、これに対抗し、解雇無効とバックペイの支払いを求めて労働審判を申し立てた。

 労働審判では、第1次解雇につき、会社がAさんの髪色を問題視していたのであれば、解雇前に書面による注意・指導、懲戒処分を行い、かつ、髪色測定の記録や写真等を残して然るべきところ、これらを何もしていない点を追及した。また、Z病院からクレームを受けて解雇するまで3日間しかなく、この間にどのような改善の機会を与えたのか問い質したところ、社長はまともに答えられなかった。

 その結果、労働審判委員会は第1次解雇が客観的合理的理由も社会通念上相当とも認められず無効であるとの判断を示した。

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