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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第20号 

嘘つきパワハラ社長が裁判中に会社破産で責任逃れ!それでも社長個人のパワハラ責任を追及することはできるか?

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 ブラック企業において、社長は往々にして絶対的権力者である。絶対的権力者が白いといえば、黒いカラスも白くなる。今回は、カラスを白くしてしまうような人間が権力を手にしたときの恐ろしさと、そんな権力者に紆余曲折を経て謝罪をさせるまでの道のりをご紹介する。

 今回ご紹介する事件の依頼者は、小規模のイベント会社で中間管理職として勤務していた50代の男性である。

札幌という街は、雪まつりやよさこいソーランなど大きなイベントが多い。依頼者の仕事は、こういったイベントの裏方スタッフとして、必要な資材や業者を手配したり各種の許可を取得したりしてイベントが滞りなく実施されるようにすることだった。仕事の性質上、早朝から夜遅くまで現場に居なければいけないことも多く、肉体的にはハードであったが、たくさんの来場客の笑顔を見ることができる、やりがいのある仕事だった。

しかしながら、あるときから、依頼者を取り巻く職務環境は地獄へと一変する。社長の苛酷なパワハラが始まったためである。

この社長は、かつては有能な経営者であったようであるが、あるときから、おそらくは会社の経営が思うようにいかなくなったことをきっかけとして、不条理なパワハラを繰り返すブラック社長へと変貌していってしまった。

 社長のパワハラとは、たとえば次のようなものであった。

 この会社では、取引先からの請求書を、担当者がチェックし、社長の机の上にある「決裁箱」に入れて、月末までに社長のハンコをもらえれば、取引先に対する支払いができるルールになっていた。

 しかし、ある時期から、月末が近くなると、なぜかこの「決裁箱」にフタがかぶせられるようになった。フタがかぶせられているので、請求書を入れることができない。そこで、直接社長にハンコをお願いしようと思っても、なぜか月末近くなると社長は出社してこない。これでは取引先への支払ができない。ところが、月が明けると、社長は会社に出てきて、依頼者に対し、「月末までにちゃんと決裁をもらわなかったお前が悪い。うちのルール上、1カ月先まで支払いはできない。お前が悪いのだから、取引先にはお前が説明しろ」と言い放つのである。要は、資金繰りがうまくいかずに取引先へ支払うお金が用意できなかったことの後始末を、部下に押し付けていたのだ。

 とはいえ、これならば支払いが1月先に延びるということにとどまる(これだけでも十分とんでもないことだが、それでも取引先に謝り倒すということはできる)。しかし、社長はさらに、何の問題もなく納品した取引先に対して、あれこれクレームをつけて代金を支払わない、あるいは値下げを求める、ということをやり始めた。それも、自分で取引先と交渉するならともかく、交渉は全て部下にやらせるのである。

問題なく納品されているのに、どうクレームをつければいいのか。しかも、その取引先は、今後もイベントの際に仕事をお願いしなければいけない相手でもある。依頼者は取引先との間で板挟みになって悩みに悩み、何度も社長に掛け合ったが、それでもOKが出ないため、苦悩の末に、自腹で取引先に支払ってしまったこともあった。それくらい追い詰められていたのである。

 極めつけは、大規模な音楽イベントの仕事について、そのイベントの予算内では到底収まりきらないような豪華な備品や設備の発注指示を社長自身が繰り返しておきながら、膨らんだ発注の支払をする段になって、依頼者に「俺はこんな発注は承認していない。お前が支払え」と迫ったことである。理不尽きわまりなかったが、この件を理由として依頼者は始末書を書かされ、他の従業員の前で罵倒されたあげくに、管理職から降格させられて大幅な減給処分となった。

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