というわけで、この世にも醜い安倍応援団の内輪もめ、「下劣さ」と「ご都合主義」ぶりではまあどっちもどっちという感じなのだが、笑い話ですませられないのは、和田議員が名誉毀損訴訟をちらつかせて、メディアを恫喝していることだ。
しかも、その相手は田崎氏だけではない。『とくダネ!』(フジテレビ)20日放送での柿崎明二・共同通信社論説委員と番組に対しても、〈レッテル張りと論評を超えて名誉を棄損〉〈「毀誉褒貶が激しい」「フェイクが多い」と根拠を示さず批判。論評の域を超えている〉と噛み付いて、名誉毀損訴訟をチラつかせた。
だが、実際に番組を確認すると、この抗議は言いがかりとしか思えないものだった。柿崎氏は同番組で、「このやり方、根拠が野田総理の秘書官だったと、増税派だって言いますけど、増税決めたのは三党合意なので自民党と公明党が入ってるんですよね。その根拠のようなもの自体が、ちょっと印象操作している。で、あれ根拠じゃないので、その経歴だけで判断したらですね。ほとんど言いがかりになってると僕は思いますね」と、和田議員の陰謀論の根拠のなさを指摘。その後、番組はパネルで和田議員について、柿崎氏談として「自民党内で評価は真っ二つ」「情報収集能力・発信力にたけている」「フェイクも多い」と紹介し、スタジオの柿崎氏が続けて「毀誉褒貶激しい人ですね」と語っていた。
見ての通り、柿崎氏は自民党内での和田議員の評判を明かしただけだし、フェイクが多いというのもこれまでの言動を分析すれば、出てきて当然の評判だろう。和田センセイの「根拠を示さず」「論評の域を超えている」という指摘は的外れどころか、逆に、柿崎氏が誹謗中傷したかのような虚偽をふりまくものだ。このほうがよっぽど「フェイク」だろう。
だいたい、自分は無茶苦茶な陰謀論を国会でぶっておいて、それが批判されたら名誉毀損だと叫びたてる……。これが政治家のやることか。もし、和田センセイがそれでも名誉毀損裁判をしたいのならば、「軽蔑する」と切り捨てた麻生財務相らに対しても訴えればいい。それをやらずに、メディアの大したことのないコメントだけを標的にするのは、明らかに言論への恫喝、圧力だろう。
和田議員は昨日、自分に対する「爆破&殺害予告」があったとして〈国会議員の発言をテロで封殺するもの。断じて許せません〉とコメントしている。
たしかに、暴力で言論を封じ込めるようなやり方は絶対に許すべきではないが、だったら、自分のやっていることの愚かさにも気づいたほうがいい。国会議員が「正当な論評」に対して、訴訟をふりかざすのは、暴力で言論を封じ込める行為に等しい。しかも、和田センセイがこれ以上、どんな悪あがきをして自分を正当化しようとしても、もはやそれは“ただのお笑い”コンテンツにしかならないだろう。
まあ、そういう意味では、このまま裁判沙汰になって、和田政宗vs田崎史郎の“安倍応援団法廷対決”コントを見てみたい、という気もしなくはないが……。
(編集部)
最終更新:2018.03.22 06:05