そしてもうひとつ、この文書改ざん問題で忘れてはいけないのは、改ざんされた文書が、昨年の総選挙における投票の判断材料になったという問題だ。前川氏は、こう指摘する。
「つまり、国民が判断する材料が間違っていたわけですからね。これはほんとうに、民主主義の根幹を揺るがす問題だと思いますね。国民を裏切る行為だし、こうやって真性でない虚偽の情報ばかり流されて、それに基づいて国民が判断した。これは国民も判断を間違えますよね。そういう、民主主義の根幹にかかわる問題」
「選挙で丁寧に説明する」と宣言した安倍首相は、結局そんなことは一度もせず、選挙中に登場したメディアではむしろ籠池泰典理事長を犯罪者扱いしたり、朝日新聞攻撃を繰り広げた。しかし、昨年春の段階で改ざん前文書が公開されていれば、あのように人を食った選挙戦などできなかった。文書改ざんの出発点が「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」という安倍首相の答弁にあったことは安倍応援団以外の誰もがすでに確信していることだが、文書改ざんは選挙まで歪めていたということは、もっと問題にされるべきだ。
昨日の『報道特集』では、膳場貴子キャスターが「昨日、内閣府公文書管理委員会の三宅(弘)弁護士と話をしているなかで『去年のいまごろにこの事実が出ていたら、10月の選挙で同じ投票をしていましたか?』と訊かれて、私、ほんとうにハッとしたんですね」と語り、国民に正しい情報を伝えなかったということの問題の重大さを指摘。「わたしたちはもっと怒ってもいい事態」と述べた。
では、わたしたちが怒る相手は誰なのか──。国会ではすでに佐川氏に罪をなすりつける一方で安倍首相や麻生財務相を庇う醜悪で残酷なショーが展開されているが、そこにこそ、真実がすべて集約されているだろう。
(編集部)
最終更新:2018.03.18 12:23