こういった大量の新規録音がなされた理由は、いったいなんなのか。それは、レコーディングし直される楽曲のリリース時期を見れば一目瞭然となる。
『Finally』のためにレコーディングし直されるのは、「ミスターU.S.A.」から「TSUKI」までの期間の楽曲。1992年9月から2014年1月までにリリースされたものである。15年12月リリースの「Red Carpet」以降の楽曲はすでに発売されているそのままの音源が収録される。
つまり、ライジング在籍時の曲だけすべて歌い直しされているのだ。これは楽曲に関する権利上の問題と見て間違いないだろう。ライジングが過去の楽曲の使用を拒否したのか、安室がこれ以上自分が「金づる」にされないように新たに録音したのかはさだかではないが、両者の間に横たわっている溝を痛感させられる事実である。
安室は『安室奈美恵「告白」』のなかで引退後の生活についてこのように希望を語っていた。
「引退ってなるとネガティブなイメージってあったりするじゃないですか、でもそうじゃなくて、一つの通過点なので、終わりがあれば次のスタートがあるので、この先の人生のほうがもっと楽しいこと待っているし、もっともっと長いので、新しい発見とか、新しい興味とか、なにかその間に見つけた『やってみたいな』というものがあったら今度はそこに情熱を注いでみるとか、そういう楽しい人生が待っているんじゃないかなって思ったりするので」
バーニンググループから自由になった安室のこれからに期待しよう。
(編集部)
最終更新:2017.11.25 12:15