この件についてASKAは、「SPA!」(扶桑社)17年1月3日号掲載のインタビューでも、このように怒りを表明していた。
〈絶対やっちゃいけないことですよね。というよりも、よくあんなことができたな、という気持ちです。僕は昔からそうですが、楽曲の反応を見るために、完成前の未発表曲を聴かせることがよくあります。もちろん、コピーなどしないことを大前提にです。数十年間、誰も約束を破る人などいませんでした。井上さんとも「絶対に公開しないでください」「もちろんです」とのやりとりがありました〉
しかし、井上公造という芸能レポーターはもともと、こんなことに恥を感じるようなタマではないらしい。
「井上さんはとにかく、大手芸能事務所や大物芸能人に取り入ることで、この業界を泳いでいる人ですからね。普段から、大手事務所の関係者や芸能人としょっちゅう飲み食いして、べったりの関係を築いている。番組でも、ジャニーズやバーニングといった大手プロのタレントの批判は一切しないどころか、逆にその言い分を代弁するような役割を担っている。大手プロが仕掛けたい話題やスキャンダルをリークされ、その意図のまま丸乗りするので有名。その癒着ぶりは今さら批判するのもバカバカしいくらい周知のことですよ」(週刊誌芸能担当記者)
実は、この「癒着」ぶりは井上本人も認めている。井上は「週刊文春」(文藝春秋)17年4月14日号の「阿川佐和子のこの人に会いたい」連載対談に登場。こんなことを語っている。
「芸能レポーター自体、芸能人がいるからこそ成立する商売ですよね。そこが梨元(勝)さんと考え方が合わなかったかも……」
井上はもともと芸能レポーターのパイオニアである故・梨元勝の弟子。そして、梨元といえば、大手芸能事務所におもねらない反骨の芸能ジャーナリストとして知られていた。
たとえば、「週刊文春」(文藝春秋)がジャニー喜多川社長による所属アイドルへのセクハラ疑惑や、ジャニーズ事務所のブラック労働などの問題について追求する連載をしていた時期、ジャニーズタブーを恐れてそれらのスキャンダルをいっさい後追いしない大手メディアを梨本はこのように糾弾している。
「文春で報じていることは、テレビ局の報道で取り上げていいことだと思うんです。しかし、ジャニーズといえば、ドラマや音楽を作る制作部門からクレームがつくだろうし、テレビというのは芸能ニュースを伝える完璧なものではないんです」(「週刊文春」1999年12月9日)