また、エイベックスの松浦勝人社長は、株主総会を前に質問状を送ったコンサルティング会社の男を後日呼び出し、暴力団組長を同席させたうえで「殺す」「埋めるぞ」といった言葉で脅した経緯が各週刊誌に暴かれている。
ただ、これらの業界関係者と暴力団との交際は、ひょっとしたらまだかわいいものと言えるのかもしれない。芸能界と暴力団の関係を語るうえでの「本丸」は「芸能界のドン」こと、バーニングプロダクションの周防郁雄社長である。バーニングは常に暴力団との付き合いを取り沙汰されてきた。山口組や住吉会、さらには、非指定暴力団・二代目松浦組の元組長で民族派右翼団体総裁である笠岡和雄氏が、01年から11年まで周防社長の用心棒をしていたことをメディアで告白している。
きっかけは、01年に赤坂のバーニングの事務所に銃弾が撃ち込まれたことだというが、その後、周防社長は暴力団をさまざまなトラブル解決に利用していったという。みのもんたが社長を務める水道メーター販売会社・ニッコクが談合事件で右翼団体により街宣車の抗議行動を受けたときは、彼らの仲介が大きな力を果たしたといわれている。
また、モーニング娘。メンバーとの援助交際を暴力団関係者に盗撮され、そのビデオをダシに周防社長が脅迫されたときも、笠岡氏から山口組関係者を紹介してもらい話をつけたとされている。
このようなズブズブの関係は、バーニングの系列会社にも同じことが言える。ライジングプロダクションは01年に平哲夫社長が脱税で逮捕されているのだが、その公判のなかで平社長自身が元ヤクザで小指を詰めたことのある過去を明かされた。また、同じ公判のなかで、コンサートの妨害を避けるためなど、ヤクザ対策費を支払っていた事実も明かされている。
ただ、バーニングが手を伸ばしているのは裏社会の人間だけではない。警察も意のままに動かせるよう策を練っている。「サンデー毎日」(毎日新聞出版)00年12月10日号には、警視庁幹部との宴席に藤あや子を呼んで接待させていたといったエピソードが記されている。
他にも、検察、政界との深い関係が常にささやかれており、バーニングはこうした力ももっているがゆえに、「芸能界のドン」と恐れられ、暴力団との関係も不問にされてきたのだろう。
暴力団排除条例の全国的な施行以降、暴力団との関係が社会全体で厳しく見直されるようになり、芸能人も暴力団との関係が発覚すると、活動を自粛せざるをえない状況に追い込まれるようになった。しかしこうした大手芸能プロと暴力団の癒着構造はいまも温存されている。SMAPやのん(能年玲奈)のトラブルに代表されるタレント奴隷支配問題とともに、暴力団との関係についても、もっとメスが入れられてしかるべきだろう。
(編集部)
最終更新:2017.10.28 01:15