一般社団法人日本音楽著作権協会JASRACホームページより
音楽教室からの著作権料徴収問題に、京都大学入学式式辞に著作権料を請求した問題など、ここのところ立て続けに起きている日本音楽著作権協会(JARSAC)に関わる炎上騒動。
今月18日、また新たな問題が浮上した。爆風スランプのドラマーであるファンキー末吉氏が、著作権料の作曲者らへの分配を適正にしていないとして、調査と業務改善命令を出すよう求める上申書を文化庁に提出。都内で会見を開いたのだ。
この会見でファンキー末吉氏は、著作権料がきちんと著作者に支払われていないと主張。その根拠として、自分自身も爆風スランプなどで2000年からの10年間に全国のライブハウスで204回のライブを開き自分が著作権者となっている楽曲を演奏したが、それに対する分配が1円も入っていなかったと主張したのだ。
本当にそうならこれはひどい。JASRACは金だけむしり取ってなんの仕事もしていないことになる。
しかし、なぜこのようなことが起こるのか? それは、JASRACがとっている「包括契約」という方式にある。
この方式では、ライブハウス側は使用された楽曲を一曲一曲報告して個別にJASRACに払うのではなく、決まった額を包括使用料として支払うことでJASRAC管理楽曲を自由に使う許諾を得ることになる。また、JASRAC側も、すべてのお店に人員を配置して何の曲が歌われたか調べるといったことはせず、一部のモニター店での演奏実績を基準としたサンプリング調査で徴収した著作権料の分配を決める。だから、そのサンプリング調査の網の目から漏れた場合、ファンキー末吉氏のようなケースが起こるのだ。
朝日新聞の取材に対し、JASRAC広報部は「統計学に基づいた一定の正確さはある。不透明という批判は当たらない」と回答しているが、こういったケースがある以上、その正確さについて疑問をもつ人も多いだろう。
ちなみに、このような主張をしたのはファンキー末吉氏だけではない。作曲家のしほり氏も同様の不満を漏らしたことがある。