いや、そう考えると、青山繁晴氏とその支持者の関係は、教祖と信者のようなものに近いのかもしれない。少なくとも、青山氏にはトンデモ宗教の教祖の素養が備わっているような気がする。
たとえば、2012年に公開された「チャンネル桜」での自身の番組『青山繁晴が答えて、答えて、答える!』では、出生時のこんな話を披露している。
「お袋にちっちゃいころ、よく聞かされたのは、こういうのほんとうにあるのか知らないですけど、まず僕が生まれたのは7月15日で暑い神戸の夏だったんですけども、予定より早く産気づいて、産婆さんが慌てて来たわけですよね。そうしたらもう半ば産まれてて、そして、タライにお湯を張って、赤ちゃんの僕が産まれて、そのまま立ったそうです」
産まれてすぐの赤ちゃんがタライのなかで立つ! まるで釈迦が産まれたときの話のようだが、青山氏はこのエピソードを紹介すると、「お袋は『この赤ちゃんはこれからどんな人生を歩むのか』と思ったそうです」と語っている。この人は生まれながらに人知を超えた存在であるのでは……と(人によっては)感じずにはいられない話だろう。
また、同じように青山氏は、昨年の夏、参院選に立候補したときに「週刊文春」(文藝春秋)が青山氏の共同通信社記者時代の経費流用疑惑を報じた際にも、「文春」記者の直撃取材にとても信じられない驚きのエピソードを(頼まれてもないのに)披露している。
このとき青山氏は、ペルーで起こった日本大使公邸人質事件の際、4カ月の滞在期間のあいだに約1500万円の経費を使い、少なくともそのうち450万円に乗馬クラブの代金など私的流用の疑いがあると見られ、選挙ビラにも「趣味乗馬」と書いていた。そのことを記者に問いつめられた青山氏は、なぜか「(乗馬したのは)十回いかないくらい」「趣味になってない」と言い張り、なぜか得意気に「申し訳ないけど、僕は運動神経いいから十回に満たない時に、障害を飛び越えられましたからね」と回答するのである。
さらに、ペルーで現地の人間にどうやって取材していたのかを糺されると、こんな仰天回答を繰り出した。
「僕は当時スペイン語をしゃべっていた。当時だけどね、今は忘れたけど。余談ですけど、中国に行ったら二日目の夜から中国語を話せますよ」
経費流用疑惑を追及されている最中に、なぜに突然、こんな武勇伝を語り出すのか……などとその神経を疑っていては青山氏を真に理解はできない。直撃取材を受けるような疑惑があることを一旦脇に置いて、あらゆる常識を取り払って青山氏の発言をそのまま受け取れば、「世界の言語のなかでも難しいとされる中国語を1日でクリア! 青山さんってすごい!」となる、のだろう。