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東山紀之が日曜ニュース番組キャスターに! 自伝で語っていた在日差別、沖縄への思い…松本人志と真逆の“反ヘイト”の姿勢に期待

 同書を読んでいると、東山が社会的な問題に常に関心を払い、個人的な体験を社会問題とつなげて考えようとしていることがよくわかる。そして、わかりやすい感情に流されず、周囲の圧力や空気にも屈さず、あくまで自分の頭で考えようとしていることも。

 徹底してヘイトや差別に対するアンチテーゼを訴えた『カワサキ・キッド』は本サイトが2014年11月に取り上げたことがきっかけで、単行本発売から5年の時を経て2015年に文庫化される。単行本が出された当時以上に、嫌韓デモが盛んに行われるようになるなど嫌韓や在日差別の空気がさらに強くなっており、芸能人も韓国やK-POPが好きと発言しただけで「在日」「反日」などと攻撃され炎上するようになっていた。そうした空気を怖れ多くの芸能人が口をつぐむようになるなか、それでも東山は、在日問題について語った同書をなかったことにせず、あらためて文庫として世に問い直したのだ。

 文庫化に際して東山は「文庫化にかえて 5年後に思う」という文章を新たに寄せているのだが、そのなかでもやはり、寛容を失った社会で必要な「優しさ」を説いている。たとえば東山は、泣いている子どもを見かけたとき、「ほら、お友達が泣いているよ」と自分のそばにいる子どもたちに声をかけるという。それがたとえ初めて会った子ども同士でもだ。

「どこの国の子どもだとか、親が誰だとか、何をしているとかは関係ない。
 大人がそういう態度でいると、子どもたちは知らない相手であれ、「あのお友達、大丈夫かな?」と言い出すようになる」

 現在の情報番組ではお笑い芸人コメンテーターやMCがすっかり定番と化してしているが、彼らは世間の空気を読むことばかりに長け、世間の常識に一石を投じたり議論を巻き起こすよりも、多数派や強者の声を代弁し補強するような言葉ばかりを選びがちだ。そんなテレビ言論のなかで、東山の世間の空気に流されない姿勢や弱者への思いが貫かれるとするなら貴重な存在になるはずだ。

 安倍政権への擦り寄りがとどまるところをしらず、ヘイト発言に女性差別、挙げ句の果てには、共謀罪に関して「冤罪もしょうがない」とまで言い放った松本人志の『ワイドナショー』での発言が毎週のようにもてはやされる現在。東山には、そんな強者のためのテレビ言論を変えてくれることを期待したい。

最終更新:2017.12.06 03:42

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