こういうネトウヨのデマを「保守系」文化人たちが書籍で再生産するというずさんな構図も、ここ数年の嫌韓反中本ブームでよく見られた光景だが、ケント氏もご多分にもれず、そのパターンを踏襲しているということらしい。
実際、以前にも本サイトでお伝えしたように、ケント氏は「Voice」(PHP研究所)への寄稿及び著書『やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人』での“コメント捏造&ネトウヨ言説コピー”事件というのをやらかしたことがある。
これは、南京大虐殺の世界記憶遺産登録をめぐって中国とユネスコを批判する文脈で、ケント氏が〈神戸大学の梶谷懐先生によると、PRC(引用者註:中華人民共和国)はヨーロッパにおいても反日工作をかなり強めているそうですが、欧米諸国は、「PRCはなぜそこまで日本に絡む必要があるのか?」という疑問しかもっていません〉と書いたことに端を発する。
「梶谷懐先生」というのは、中国経済を専門とする経済学者、梶谷懐・神戸大学大学院経済学研究科教授のことだが、梶谷教授は「私が全く言ったり書いたりしていない内容」と反論して「Voice」編集部に抗議。版元は誤りを認め訂正したのだが、その説明で唖然とするようなことが判明した。
くだんの記事はケント氏が書いたわけではなく、喋ったのをゴーストライターが文章にしていたのだが、その書き起こしのなかで、どうも「KAZUYA」を「KAJIYA」と間違えたというのだ(なお、梶谷教授の姓は「KAJITANI」)。ゴーストライターに書かせたというだけでなく、ゲラでもチェックミスと、そのいい加減な本作りが露呈されたわけだが、さらに唖然としたのが、ケント氏が実際の発言者として紹介していたのが「KAZUYA」だったということだ。
KAZUYAこと京本和也氏といえば、YouTubeやニコニコ動画に反日攻撃動画を続々と配信している“ネトウヨ動画芸人”。ようするに、ケント氏はこうしたネトウヨ界隈の言説を拝借し、チェックすらせず、もっともらしく歴史問題や国際政治を語っているのだ。
実際、ケント氏の言動をチェックしてみると、ほかにもネトウヨ受けするヘイトスピーチや“反日陰謀論”をつぎはぎしているだけで、中身なんて全くない。