〈裸で抱き合うだけの挿入しないセックスを提案してみて下さい。裸で抱き合うと不思議と安心しますから、優しい言葉で会話ができます。それだけでも、随分と気持ちが楽になるはずです。まずは、そこからです。その先には自然とセックスがありますよ〉
そしてさらに、セックスレスの相談に答えながら彼は、そもそも人間にとって「セックス」とは何かという問いに対して、このような考えを語っている。
〈いきなり壮大な話になりますが、人間は基本的に孤独です。誕生した瞬間から、本能的に孤独を感じており、その孤独をどう克服するかが永遠のテーマだったりします。性欲の本質は、生殖ではなく孤独の克服です。赤ん坊は母親に抱きしめられ、その温もりを通してひとりじゃないんだと安心するそうですが、大人だってそう変わりません、肌の接触が必要で、孤独じゃないと強く感じられるのがセックスです〉
〈人間にとって性欲の本質は、生殖や快楽への欲求ではなく、孤独の克服です。人は人と繋がりたいという欲望を本質的に持っています〉
前著『偏差値78のAV男優が考える セックス幸福論』のなかで森林は、自身がAV男優としての道を歩むことになったそもそものきっかけは、超進学校に通い、自分以上に勉強のできる化け物のような級友に出会ったことで大きな挫折を味わったことだったと語っている。
〈僕が努力してきた時間が無駄と思えるほど圧倒的な頭脳の存在を知らされたのです。勉強もたいしてせず、いとも簡単に合格した奴らが何人もいて、そいつらは、塾にも行かず、親に教わっただけとか、一を聞いただけで十も百もわかってしまうような頭で、天才としか言い表せられません〉
〈全国模試で一ケタ代の順位しか獲らない奴や、数学オリンピックで金メダルを獲る奴、ラジオ英会話を聞くだけで英検一級になっちゃう奴。そんな奴らと学力で張り合おうとは、とてもじゃないけど思えませんでした〉
そんな思春期の彼を救ってくれたのは「性」であり「エロ」であったと言う。
〈物心ついた僕にとって、性は、救いで、逃げ場だったのです。“性”なんてかしこまった言い方をされるものじゃなく、下品で下世話で面白い“エロ”でしかなかったけど、エロも性の一部だとしたら、僕はやっぱり、性に救われたってことになるんだと思います〉(前掲『偏差値78のAV男優が考える セックス幸福論』)