室井 え〜、でも、それって、アベノミクスの国の借金をどんどん増やした部分は認めるということじゃないの?
山本 1000兆円を超える借金に加えて、また借金か!と、ツッコみたい方もいらっしゃるでしょう。そういった「借金がヤバい」、という擦り込みは、増税を進めたい財務省の煽りとマスコミのお手伝いが功を奏しています。国が持つ借金を、人間の人生の80年くらいに当てはめて、とにかく早く返さなきゃと誘導されています。国は何百年、何千年も続く訳ですから、返済に関して、長いスパンで健全化を達成すればいい。しかも、借金している先は、国内。日本には、ギリシャと違って中央銀行もある訳ですから、おカネをつくって借金をなくすこともできます。ギリシャのようにはなりようがない。
もちろん、「無限に」ではありません。でも、いまは、景気をよくするために、大胆にやるべきです。
安倍首相のやろうとしていたことは、本来、リベラル派がやらなければならなかったこと。それを極右に先を越された。無からおカネを大胆につくって大胆な財政出動をセットにして、きちんと国民が生きることができるインフラを整える。それこそが景気を回復させ、雇用の拡大に繋がります。そのためには、従来の公共事業とは違うかたちで、大胆にやる決意と行動を解りやすく世界に示すことが重要だと思います。
室井 たしかに、経済政策でリベラルは安倍政権にお株をとられちゃったという話はよく聞きますよね。本当は、リベラルが財政出動を肯定して、それを社会福祉や富の再配分に使うことを主張しなくてはいけないのに、民進党は財務省のいいなりで増税と緊縮政策に走って、国民にそっぽを向かれてしまった、と。
山本 そうなんです。ですから、これからのリベラルの合い言葉は、「反緊縮」。金融緩和と財政出動をセットで、大胆に、本当に意味のある公的事業に使うことを主張していかなきゃいけない。
安倍政権は大企業優遇や箱モノの建設など従来型を継承しています。例えば、リニアに3兆円とか。そこから豊かになるのは、一部の人々です。もっと大胆に、人々の生活に密着した問題に光を当てる必要があると思います。
室井 わかるけど、でもそういう話って、なんか燃えないんだよなあ(笑)。
山本 私の説明が下手なうえに、長過ぎたからですね(笑)。こういうことをもっとわかりやすく短く、リアルに話せるようになりたいんですよね。例えばいま、社会問題になっている奨学金。これはリニアと同じ財政投融資から6兆円引っ張ってきているんです。
財政投融資の原資は国債ですから、国が銀行から借りているんです。その6兆円を、日本学生支援機構が、多くは有利子で学生に貸し出す。学生から利息を取って、利息を財投に戻す。事実上、金融機関などへの返済を学生にさせることになる。元々、奨学金の原資、金を引っぱってくるところが間違っている、って話しなんです。学生が返済に苦しむ一方で、利息や延滞金で金儲けをしている人がいる。そうした説明をもっと簡単に伝えることができたらいいと思っています。
加えて、私が総理なら、学生支援機構の6兆円を日本銀行に買い取らせて、チャラにします。
対象者は20代前半から後期高齢者までの約270万人。もちろん学生だけでなく、保育所も、医療も、介護も、自己負担が多すぎる部分への施策が、少子化対策にも、個人消費の押し上げにも、雇用の増加にも繋がります。それくらい大胆なことをやらないと、国の将来はありません。
室井 いや、だからわかるんだけど、燃えないんだって(笑)。いくらリアルに話しても、地味だからねえ。いまの太郎ちゃんの話聞いて、国民が食いつくのかなあ。“魅せる”って難しい。
山本 ご清聴ありがとうございました。説明も長くなりますし。いまの説明に加えてあと5分欲しいところです(笑)。でも、与えられた時間でコツコツ主張していくしかない。僕はこの道に進んで4年目ですが、世の中は変わっていない。自分の変えたい部分も変えられていない。国会議員は約700人。僕はそのうちのひとりです。そう簡単にいかないのは当然ですけど、続ける以外に、方法はないと思っています。ちょっとずつ交渉しながら、一歩でも数ミリでも進めていくしかないんです。そのためには、みんなの生活が豊かになるような政策を提示しないと、支持は得られない。支持を得られなければ、実現もできない。