じゃあ、そんなこと取り上げずに、いまいちばん話題の森友学園問題をやればいいではないかと思っていたら、中井貴一のコンプライアンス批判発言を取り上げ、その後にようやく森友学園問題。しかしわずか5分ほどで、松本はといえば、東野の「本筋は国有地問題なのに野党は100万円寄付問題に終始しそう」という野党ディスに「そっちがおもしろいんでしょうねえ」と相づちを打ったのと、100万円寄付問題について「昭恵さんも、なんか微妙な言い方ですよね。『記憶にない』っていう言い方って、なんか非常に危ないなあって」と話したくらい。「危ない」って、お前は官邸か自民党のリスク管理の人間かと言いたくなるが、とにかくアリバイ的に取り上げただけで、ほとんど触れていないのだ。
その一週間後、26日の放送ではどうだったのか? 数々の新事実が発覚した籠池証人喚問直後だったが、この放送で最もピックアップしていたのは、またもや茂木健一郎による「政治に関して語れない日本のお笑いはオワコン」論争。そんなにこの話が好きなら、先週あっさりと「茂木さんはおもしろくないから、この発言きいてもなんとも思わなかった」と切り捨てていたのは何だったのか。
茂木本人をわざわざスタジオに招いてまでこの問題を取り扱ったものの、肝心の内容は、「センスがない」と言われてしょんぼりする茂木を松本がひたすら上からイジり倒すだけで、論争の本題に踏み込むことは一切なし。これなら太田光の出演する裏の『サンデージャポン』に出たほうが茂木にとっても視聴者にとっても本当に見たいものが見られたと思うのだが。
この日の放送では他に山本裕典騒動も大きく扱い、森友学園に関しては冒頭で7分ほど軽く取り上げたのみ。そこでの松本は「いろいろと言いたいことはありますけど……」と話し始めたものの、すぐに「本題ではない100万円のことに論点がすり替わっている」「我々が望んでるリングはそれじゃない」などと問題そのものに踏み込まない。結局「言いたいこと」も「本題」もなんだったのかは語らぬまま、今度は「自分たちの身の回りで起こる「忖度」」について卑近な例を出し合ったり、いつも通り何を言っているか分からない宮本浩次(エレファントカシマシ)をイジっているうちにコーナーは終了。何かを言っているようでいて、何も言っていないまま、この話題は終了した。
ちなみに、松井一郎大阪府知事が証人喚問される可能性もあるという話になったとき、松本はその話には一切触れず、すぐさま「籠池さんがここでナンボ頑張ったところで何も変わらないじゃないですか。籠池さん自身は。もう学校もできないし。じゃあ、何と戦って、何をいまがんばってるんですか?」と、またもや全然違う話に変えていた。
本稿冒頭であげた招致委員会のトップには榊原定征経団連会長が就き、会長代行には問題の松井一郎府知事が就任している。もともと政権へのゴマスリがひどい、どころか、安倍首相をゲストに招いて露骨な「接待」まで繰り広げていた『ワイドナショー』。ダウンタウンが招致委員会のアンバサダーになっていようといまいと政権擁護の番組内容になっていたのは間違いないが、「擁護」どころか「扱わない」というあからさま過ぎる対応に出ていた裏で、森友学園の主犯格として名指しされている松井府知事のもと国家事業の仕事をもらっているという事実がある。かつてのカリスマ芸人は、どこまで権力の犬に堕ちていくのだろうか。
(編集部)
最終更新:2017.12.21 05:04