たとえば、トランプが攻撃的になってメキシコや移民に牙を向けるように、片山は同じように韓国や中国をターゲットにしてきた。「正論」(産経新聞社)2012年11月号に掲載された稲田朋美現防衛相との対談では「韓国と日本の民族性はまったく異なり、成熟度が日本に比べて低い」などと言い、韓国との外交についてもあからさまな“上から目線”でこう語っている。
「韓国の国民性を考えると、日本主導の外交をやるためには、常に我々のほうが上位で有利なポジションにいることをキープし続けなければならないでしょうね」
「常に韓国が日本に頭を下げざるを得ない状況を作らなければならない」
植民地意識が丸出しで閉口してしまうが、当然ながら歴史修正ぶりもすさまじく、「慰安婦問題など存在しない」と断言したり(「WiLL」2012年11月号/ワック)、「欧米よりも韓国よりも、日本人は慰安婦に対して人間として接していたと思う」(同2013年8月号)と、“思う”だけの話で性暴力を矮小化。さらに、ツイッターではこんなヘイトスピーチを垂れ流している。
〈昨日飛行機で隣り合わせた台湾女性ビジネスマン「台湾と中国の人の最大の差は価値観。お金のため人殺しというのは台湾にはない。あとは中国韓国の国家的反日教育こそ、過去の呪縛で未来の世代を縛り続ける愚行」と。明快でした〉(2013年5月8日のツイートより)
また、片山はここぞとばかりに韓流批判にも精を出し、2011年7月にはフジテレビ批判をおこなった高岡蒼佑(現在は高岡奏輔に改名)について〈彼が提起し皆さんが共有する危機感に焦点を当て、攪乱勢力を排して行きましょう!〉とネトウヨを鼓舞。2012年3月には参院総務委員会で「NHKの音楽番組『MJ』では韓国人グループ・歌手の占有率が36%。これでは“ミュージックコリア”だ」とNHKに噛みついた。しかし、実際は約11%でしかなかったことがすぐさま判明、片山のデマだったことが証明されてしまった。
だいたい、片山は韓国嫌いでネトウヨから支持を取り付けてきたが、議員1年目の06年に取材を受けた「週刊女性」(主婦と生活社)で「韓流作品はご覧になりますか?」と質問されたときには、「『チャングムの誓い』は好きですよ。料理という観点から韓国の文化が理解できるので、素晴らしいと思います」と回答している。結局は、ネトウヨを票田と見込んで媚びを売って韓流批判に振り切っただけなのだろう。
そして、片山がもっとも醜態をさらしたのが「生活保護バッシング」だ。2012年に次長課長・河本準一の親族の生活保護受給を槍玉に挙げ、片山はバッシングの急先鋒に。メディアに出ては不正受給を叩きつつ、実際には生活保護受給者への批判を全面展開したのだ。
「公的扶助を受けながら、すべての権利が認められるべきなどとする主義主張は許されないということを正面に打ち出して闘うのが保守政治ですよね」(「正論」2012年8月号)
「私が指摘したいのは、かつての日本にはあった「生活保護を受けるなんて、隣近所の手前恥ずかしい」「親子は本来、養うべきなのではないか」といった価値観が、徐々に失われつつあるという現実です」(「Voice」2012年8月号/PHP)