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小田原「保護なめんな」ジャンパーは氷山の一角! 安倍政権下で横行する生活保護申請者への差別と辞退強要

小田原市HPより


 これは明らかに“弱者切り捨て政策”のひとつのあらわれだろう──。「保護なめんな」とプリントされたジャンパーを、神奈川県小田原市の生活保護担当職員らが勤務中に着用していた問題のことだ。

 このジャンパーの背面には「生活・保護・悪を撲滅する・チーム」の頭文字から取った英字で「SHAT」というアルファベットや、「私たちは正義。不正を見つけたら追及する。私たちをだまして不正によって利益を得ようとするなら、彼らはクズだ」(朝日新聞より)という英文が書かれていた。まるでネット右翼によるアジテーションのようだが、驚くべきことに、こんな文面を掲げたジャンパーを着て職員らは生活保護を受給する世帯への訪問をもおこなっていたという。

 小田原市は「自分たちの自尊心を高揚させ、疲労感や閉塞感を打破するための表現だった」などと弁明しているが、よりにもよって自治体が生活保護受給者への偏見を助長し不当に貶めるような文言を晒してきたことは、相当に悪質と言わざるを得ない。

 だが、今回露呈した問題は氷山の一角にすぎない。実際、行政の「保護なめんな」という攻撃的な態度によって、保護されるべき人びとが排除されているからだ。

 現に、福祉事務所では、窓口に訪れた人に生活保護の申請をさせず追い返す「水際作戦」がおこなわれてきた。貧困問題に取り組んできた稲葉剛・立教大学大学院特任准教授の『生活保護から考える』(岩波新書)によれば、「水際作戦」が一般化したのは1980年代からで、バブル崩壊後の90年半ばになると、東京や大阪などの都市部の福祉事務所では〈相談に来る路上生活者に対して、差別的侮蔑的な言動を用いて追い返す、相手をわざと怒らせるような言動をして席を立たせる、ということが日常的に行なわれていました〉という。

「どこの馬の骨かわからない人に生活保護は出せない」
「仕事なんてえり好みしなければ、いくらでもある」
「病気があると言って甘えているが、日雇いでも何でもして、自分の金で病院に行くのが筋だ」
「あんたが悪いんだから、頭を下げて実家に戻りなさい」
「あんたは性根が腐ってる」

 これらの罵詈は稲葉氏が生活困窮者の保護申請に同行した際、福祉事務所で実際に耳にしたという言葉だ。これでは取り付く島もないが、小田原市のジャンパーと同根の問題である。

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