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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」⑤

慰安婦“少女像”に過剰反応する安倍首相の差別思想! 慰安婦を“嘘つき”よばわり、「キーセンは韓国の日常」と暴言

 三番目が、儒教思想国家を否定する“韓国売春大国説”に基づく疑問呈示だった。講師の石原氏が戦後46年間沈黙したことについて「非常に儒教思想が強い韓国では性の問題については非常にナーバス」「たとえ強制されたとはいえ売春のようなことをしたことを認めることは非常に恥」などと説明をしたのに対し、安倍氏はこう反論したのだ。

「ですから、もしそれが儒教的な中で五十年間黙っていざるを得なかったという、本当にそういう社会なのかどうかと。実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私は思っているんですけれども」(前掲『若手国会議員による歴史教科書問題の総括』)

 ここでも安倍首相は、“韓国売春大国”で沈黙し続けたのはおかしいという疑問を投げかけたのだ。安倍首相の思い描く“元慰安婦像”が明らかになっていく。それは「元慰安婦=キーセンハウスで働く売春婦=強制性のない商業的行為(ビジネス)だから問題なし」というものだ。

 同じような見方をするのは、安倍首相だけではなかった。「(若手)議員の会」幹事長だった衛藤晟一参院議員も「今だってまだ世界のいろいろな売春組織があったり、大変失礼な話だけれども、韓国にもついちょっと前までキーセンというシステムがあった」(前掲『若手国会議員による歴史教科書問題の総括』)と発言した。

 日韓合意直後にも、桜田義孝衆院議員が「(慰安婦は)職業としての娼婦、ビジネスですよ」「キーセンパーティーは韓国の外交、商業活動」と似たような主張をしていた。

 また橋下徹・大阪前市長も13年5月、「(沖縄で)米兵は風俗をもっと活用するといい」と言い、従軍慰安婦肯定論を展開。国内外から批判が殺到しても、橋下氏は「風俗業を否定することは自由意志で選んだ女性に対する差別」と反論した。慰安婦を商売と捉えて開き直るのは、安倍首相と重なり合うのだ。

 安倍首相の20年前の“本音トーク本”を詳しく紹介したのは他でもない。2001年に起きたNHKのETV特集番組改変事件をはじめ、14年の日韓合意から今回の少女像撤回要求に至るまで「慰安婦=売春婦」という見方は引き継がれているとみえるからだ。

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