左・TBS『NEWS23』番組サイトより/右・テレビ朝日『報道ステーション』番組サイトより
結局、北方領土問題は微動だにせず、総額で3000億円規模となる経済協力の合意など、安倍首相がプーチン大統領にいいように利用されただけに終わった日露首脳会談。だが、ほとんどの国内マスコミは安倍政権の情報操作に丸乗りし、「プレス向け声明」を「日露が共同声明」などと報じるなど、完全に安倍政権の援護にまわった。
なかでもひどかったのは、テレビ局だ。ハードルを下げようとする官邸の思惑に全面協力したワイドショーの姿勢については、昨日も批判したが、もっと愕然としたのは、昨夜、安倍首相が生出演したNHK『ニュースウオッチ9』、テレ朝『報道ステーション』、そしてTBS『NEWS23』という3つの報道番組だ。
安倍首相に問題点を追及することもできず、たんに安倍首相の言い訳を垂れ流し、完全に官邸に屈服した姿をさらけだしてしまったのだ。
まずは21時の『ニュースウオッチ9』。冒頭、河野憲治キャスターが「自己採点は何点ぐらいですか」と質問。安倍首相から「本格的な議論をスタートさせることはできました」「(点数をつけるのは)難しいですね」などとはぐらかされ続けたのだが、対する河野キャスターはまったく追及せず、にっこり顏で「むずかしいですか、なるほど」と相槌を打つだけという緊張感皆無で始まった。
その後も“首相に最も近い記者”と言われる岩田明子記者が「(北方4島問題の)ゴールは見えてきたなという実感はあるか」と、安倍首相とツーカーで「成果」を強調。さらに、VTRで紹介した元島民らの声も、評価するような部分を意図的に取り上げて“賛否拮抗”であるかのごとく演出。しかも、スタジオではこうした元島民の声にはほとんど触れなかった。
だが“安倍様のNHK”のこと、ある意味これも“通常運転”ではある。たびたびリベラルな特集を組む『報ステ』と『23』だけは、プーチンが関与するシリア問題に切り込み、安倍首相の矛盾した態度を追及してくれるかもしれないと、ほのかに期待していたのだが、しかし結局、両方とも、首相を接待しているのかと思えるほどヌルい内容に終始した。