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山田孝之が「ウシジマくん」の役に乗っ取られた!? インタビューで「努力は格差で埋まる」「闇金の客はバカ」と自己責任論連発

 確かに、作中で登場する「カウカウファイナンス」の客たちは、ギャンブルに依存していたり、どう考えても怪しい詐欺にまんまとはまって借金を背負っていたりと、必ずしも100%同情しきれない人物も多いのは間違いないが、しかし、これって、自民党の政治家や企業経営者が好んで語りたがる「自己責任論」そのものじゃないだろうか。

 格差の下層にいる人間は努力が足りないからだといった論理に、無自覚に乗っかることがいかに危険か、北海道大学名誉教授である吉崎祥司氏は『「自己責任論」をのりこえる 連帯と「社会的責任」の哲学』(学習の友社)のなかでこのように述べている。

〈自己責任論は、「社会的責任」と「個人的責任」とを意図的に混同し、支配層にとっての不都合なことすべてを個人の「自己責任」に解消することで、社会的・公共的責任を放棄し、あるいは隠蔽しようとするもの〉

 つまり、「自己責任論」とは、格差や貧困による苦しみを社会システムのせいではなく個人の責任に押し付けることで、政治や社会に対する不満につながらないようにする、権力者にとって大変都合のいい考え方だということだ。

 吉崎教授は前掲書のなかで「自己責任論」が生まれ、為政者によって利用されていく流れを以下のように説明している。

1.競争を当然のこととし
2.競争での敗北を自己責任として受容させ(自らの貧困や不遇を納得させ)
3.社会的な問題の責任をすべて個人に押しつけ(苦境に立たされた“お前が悪い”)
4.しかもそうした押しつけには理由がある(不当なものではない)と人びとに思い込ませることによって
5.抗議の意思と行動を封殺する(“だまらせる”)

 我が国おいて「自己責任論」が跋扈するようになった契機は、周知の通り「新自由主義」思想に基づいて小泉政権が断行した構造改革にある。

 新自由主義とは〈景気を回復し、グローバル競争にうち勝つためには、長期不況の原因となっていた過剰な「規制」と「保護」を構造改革によって打破し、競争主義を徹底する必要がある〉というもの。この構造改革は大量の失業者を生み、非正規雇用労働者を増大させた大きな要因となったが、同時に、「すべては自己責任」という風潮もつくりあげた。

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