1987年の数字を見ると、「婚約者がいる」3%、「恋人として交際している異性がいる」19%、「交際している異性がいない」49%、「友人として交際している異性がいる」24%となっている。
一方、2010年のデータでは、「婚約者がいる」2%、「恋人として交際している異性がいる」23%と、これらは1980年代の数字と大して変わらない。そして、確かに「交際している異性がいない」は61%と跳ね上がっているのだが、「友人として交際している異性がいる」の数字は9%と激減している。この数字を挙げて深澤氏は、いまの若者にとって「友人として交際している」は単なる「友人」なのだから、「交際相手」を聞くこのアンケートでわざわざカウントしないのではないかと主張している。
事実、同じ調査で「性体験の有無」を聞いた項では、男性は53%から60%に、女性は30%から55%に増えており、若者が本当に恋愛しなくなっているのかどうか疑問が残る。先のアンケートで「交際している異性がいない」の数字が上昇したのは、20年前なら「友人として交際している異性がいる」に入れていたであろう人たちが「交際している異性がいない」に入れたという、感性の変化なのではないかと言うのだ。
またこういった問題は抜きにしても、そもそも、少子化は恋愛云々とは何の関係もない。前出「週刊プレイボーイ」で深澤氏はこのように語っている。
「ギリシャ人は日本人の2.5倍セックスをしているというデータがありますが、少子化は進んでいます。結局、結婚や子づくりは経済面に強く関わることなので、できるかできないかは社会に影響される部分が大きい。個人の思想の変化なんかで解決される問題じゃないんですよ」
以上のように、深澤氏は「草食男子」という言葉の誤用と、その誤用を裏付けるためにマスコミが流した情報の誤りを指摘し続けているのだが、このようにメディアによって誤って解釈されて広まり、その言葉の生みの親を困惑させるケースは多い。
その典型例として最近話題となったのが、昨年「流行語大賞」にエントリーされた「プロ彼女」だ。この言葉はもともと、エッセイストの能町みね子氏が「週刊文春」(文藝春秋)の連載コラムのなかで、ロンドンブーツ1号2号・田村淳の結婚相手について〈「彼女は一般女性というよりはプロの女性だろう」みたいに書いた〉(能町氏のツイッターより)ことがきっかけで生まれた。「夫に尽くす従順な妻」というイメージで報じられた田村淳の妻を、男に召し使いのごとくかしずくことで有名人の妻の座を射止める女性を旧来的な女性像として批判した言葉だった。