まったく人騒がせないたずらだが、しかし、この結果に、マスコミ関係者の間では「この程度で警察に届けるなんて、騒ぎすぎなんじゃないの」と、文春の対応に首をかしげる向きもあったという。
たしかに、脅迫の手紙やメール、いたずらはメディアにはつきもので、今回の文春の対応はいささかオーバーにもうつる。
ただ、文藝春秋は1993年、「週刊文春」が美智子皇后バッシング報道を展開した際に、当時の田中健五社長の自宅が右翼団体によって銃撃されるという事件が起きて以来、郵便物などをかなり厳重にチェックする体制を敷くようになっていた。
しかも、ここ最近、「週刊文春」が注目を集めるようになって、社内の危機管理意識はいままで以上に高まっていたという。
「これだけ話題になると、やっぱり“出る杭は叩かれる”でどんな報復があるかわかりませんからね。上層部は相当に警戒しています。今回のような脅迫とか襲撃はもちろんですが、ナーバスになっているのは社員や契約記者の不祥事。たしかに、いま、文春の社員が痴漢事件でも起こしたら、袋叩きに遭うでしょうからね。下手をしたら、社員同士の不倫というだけでも大々的に報道されてしまうかもしれない。そのためか、『週刊文春』の編集部では、社員編集者、契約記者なども含め身辺に気をつけるよう訓示が出され、スタッフは『目立つ店や場所では派手に飲まない』など、相当に注意を払っています」(「週刊文春」関係者)
権力を監視する側が監視され、権力を追及する側が追及されるようになってしまったいまの時代、たしかに、メディアが危機管理意識をもって、自分たちの身を律することはたしかに必要だろう。
タブーを恐れずスクープを連発するイケイケ的姿勢の一方で、この臆病ともいえるくらいの警戒心をあわせもっていることが、文春の強みなのかもしれない。
(田部祥太)
最終更新:2017.11.24 06:56