中国共産党から「日当」が出ている……。ネトウヨ脳ここに極まれり、といった感じだが、しかし、これは笑い話では済まされない。事実、こうした「日当」陰謀論がネトウヨに受けるとみて、政治家も公然とそれを利用しているからだ。
現に、自民党の西田昌司参院議員は13年12月、「チャンネル桜」に寄せたビデオレター内で、特定秘密保護法に反対する人びとについて、こう語っている。
「聞くところによりますと、この方々はですね、いろいろな団体から要請を受けてですね、駆り出された、日当が出ているという話もありますけれども、とにかくそういうことが毎日やっているわけですね」
現役議員が根拠もないデマを垂れ流すとは自民党のレベルの低さを露呈させているようなものだが、これこそが安倍政権クオリティなのだろう。
実際、昨年7月に「SEALDsをやっていると、就職できなくなる」とブログで脅したことで問題となった福岡県行橋市の市議会議員である小坪慎也氏も、昨年4月、自身のブログで「労働組合の組合費からデモの日当支払い!?」なるマンガをアップし、“原発反対デモは日当が支払われている”と主張。しかも、このマンガがまとめサイト「ネトウヨにゅーす。」で取り上げられたことを「謝辞」としてわざわざ報告、「この場を借りて感謝申し上げたいと思います」とまで書き添えている。じつはこの小坪議員、無所属ながら初当選した3年前の選挙戦では、安倍チルドレンであり、例の「文化芸術懇話会」の代表を務めた木原稔衆院議員が、わざわざ県外から応援演説にかけつけている。
このように、「日当が出ている」「アルバイトだ」と根拠のないデマによって批判されてきたのは、核兵器の廃絶や反原発、反基地、そして特定秘密保護法や安保法など、そのいずれもが極右が糾弾する運動ばかりだ。自分たちの主張に反対する運動を貶めて矮小化しようとする陰湿さは折り紙つきではあるが、ネトウヨはこうしたデマを「これが真実だ!」とネット上に拡散することに勤しんできた。
だが、実際は金で人を買収しようとしていたのは、味方陣営のほうだった。……この事実を、百田氏やケント・ギルバート氏、そしてネトウヨ諸君はどう考えるのか。ぜひとも言い分を聞いてみたいものだ。
(水井多賀子)
最終更新:2017.11.24 09:42