「広島の慰霊祭では12000くらいの席が準備されいるんですね。被爆者用にも2500席くらいが準備されているんだけど、そこには広島県民や広島市民はほとんどいない。また、被爆者の二世や遺族もほとんどいない。じゃあ、誰があそこに並んでいるのかというと、日本全国から集まってきた左翼なの。彼らは日当をもらって、バスに乗って全国から駆けつけてくる」(原文ママ)
慰霊祭に被爆者や遺族はおらず、日当を支払われた左翼が動員されているにすぎない──。じつは同様の発言を、田母神氏は09年8月6日に日本会議広島支部が行った講演会でも行い、広島市と広島被爆者団体協議会、長崎原爆被災者協議会から反発が起こった。まさに被爆者とその家族を冒涜する暴言であり、日当云々にかんしては何の証拠もない陰謀論でしかないが、まさにこの田母神氏の発言にネトウヨは乗っかり、「左翼は金で買収されているだけ!」とガセ情報を流布してきた。
しかも、田母神氏に近い“あの人”も、こんな発言の過去がある。田母神氏の選挙で応援演説を買って出て、他の候補者を「人間のクズ」と罵倒し問題になった百田尚樹氏だ。
百田氏は、昨年の安保法案に反対する国会前デモが話題になった際、〈(デモ参加人数は)ひどい水増し!しかも五千人も大半がアルバイト(^_^;)〉と誹謗中傷した。
同時期にネット上では、元「新しい歴史教科書をつくる会」会長・藤岡信勝氏がFacebookで出所不明のツイッター情報を取り上げ、〈(国会前で抗議運動を行う人は)すべて政党からの依頼で集まった人たち〉〈参加者の中には「政党とテレビ局と両方から謝礼金をもらった」と話す人がいました。合わせて2万円以上もらう人もいます。職業を訊くと、いわゆるニートで、生活保護受給者でした〉と拡散していた。
百田氏はこうしたデマをさらに流布したわけだが、このとき「5000人に2万円を支払ったら1億円にもなるけど、一体どんな政党がどんな手を使ってそんな金額をばらまけるの?」と笑い種となった。だが、いまにして思えば、田母神氏ほどの杜撰さならば、ポンと2000万円くらいは出せたのかもしれない。金を出して動員していたのは、じつのところヤツらのほうではないか、という気さえしてくる。
また、同じく田母神氏と親交があり、アパ懸賞論文の先輩・後輩の仲であるケント・ギルバート氏も、何かというと「日当」を口にする人物だ。
「噂では、移設反対運動に参加すれば、日当は一口二万円ということです」(『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』PHP研究所)
「(反基地の)デモ隊の日当を、中国共産党が間接的ではありますけども、払ってます」(テレビ朝日『朝まで生テレビ!』2015年11月27日放送)