「最初の頃からあの人(石坂)は共演者でも、好きになった人でも、みんな家に連れて来ましたから。それは言われなくてもわかりますよ、雰囲気で」
「やり方がヘタなんだから(笑)。潔く『好きな人ができて、お母さんの面倒もみなきゃいけないし、普通の家庭を持ちたいから別れてほしい』と言ってくれれば『わかった、じゃあ離婚しましょ』って、カッコよかったのに」(扶桑社「エラン」01年7月号)
さすがは大女優。「やり方がヘタ」と笑って済ませているが、相手が浅丘でなければ、「家に不倫相手を何食わぬ顔で連れてくるゲスの極み野郎」として大バッシングの火種になっていたはずだ。しかも、浅丘ルリ子の半生を林真理子が小説にした『RURIKO』(KADOKAWA)では、別居間もない頃に石坂が電話で〈今度共演することになったあの大女優とは、いったいどうやってつき合えばいいのか。何か知っていたら教えてほしい〉と浅丘に尋ねるシーンが登場する。察するに、へーちゃんはとんでもなく空気の読めない、欲望に素直な人間なのだろう。
だが、へーちゃんの問題点は、あきらかに“天然系”であるのに、離婚会見のすったもんだでもわかるように、無駄に計算を働かせて、結局、裏目に出てしまうところにある。じつは石坂は再婚女性と入籍前に2度も写真誌に密会現場を撮られているのだが、記者から直撃を受けた際、こんなことを口にしていたのだという。
「「俺の潔白」を証明してしまうと、君が困るだろ? そっちは“不倫だ”という記事を書きたいだろうに、それがまったく違うと判明したら、面白い記事が作れなくなっちゃうじゃない」(新潮社「FOCUS」01年1月31日号)
色男だということは世間に知れ渡っているのだから、もういっそのこと開き直ればいいのに、御託を並べてしまう。前述の『RURIKO』でも、浅丘を無視してワインや芸術の話を延々と喋りつづけるシーンが数多く描かれ、インテリの空疎さをあますことなく表現しているが、これを読む限り、石坂を相手にするのはかなり大変だということがよくわかる。実際、『白い巨塔』(フジテレビ)に出演していたとき、主演の唐沢寿明はインタビューで「(苦労は)石坂浩二さんの収録現場でのおしゃべりが止まんないぐらいでさ。まさに、俺の天敵」(マガジンハウス「Hanako」03年10月22日号)と話している。
多趣味かつ博識、何より蘊蓄を傾けるのが大好き。そして分が悪くなると計算してみたりするものの、要領を得ない……。こうして傍から見ている分には愛すべきキャラであるような気もしなくもないが、深く付き合うには、なかなか一筋縄ではいかないのだろう。しかも昔とは違って、いまはバックに芸能界のドンがついているのだから、石坂も心強いはずだ。
はたして、今回の騒動の真相は何なのか。ただひとつ言えることは、へーちゃんは一方的にいじめられて、ただ耐えて黙っているような人物とは思えない、ということ。『水戸黄門』に「ざまあみやがれ」と言ったように、今回もオープンな発言を期待したいところだが……。
(大方 草)
最終更新:2016.02.04 01:27