★3位 東芝の不正事件で「粉飾決算」表現を封印! 裏には原発タブーと安倍政権との癒着が
総額2000億円超の巨額“粉飾”が発覚した東芝事件は、国策に関与する巨大旧財閥系企業がこの国では。いまなおタブーになっていることを証明したといえるだろう。
というのも、この問題に対する新聞・テレビの動きの鈍さは異常とも言えるものだからだ。
東芝が巨額売り上げ水増ししていることは、すでに今年4月の段階でSESC(証券取引等監視委員会)に告発がなされており、5月には各社ともかなりの証拠をつかんでいた。ところが、メディアは当初、ほとんどこれを報道しようとしなかった。
7月21日には粉飾決算を調査した第三者委員会報告書の全文が公表され、過去7年間で1500億円を超える利益の水増しの事実に加え、歴代の経営トップが関与して“不適切会計”が行われたことが明らかになったが、この時も報道は散発的。ライブドアやオリンパス、山一証券事件の時に見せたような厳しい追及はまったくなかった。
とくに唖然とさせられたのは、第三者委員会が利益水増しを確定した段階でも、「粉飾決算」という言葉を使わず「不適切会計」というあいまいな言葉を用いたことだ。
マスコミのこうした弱腰の理由のひとつはもちろん、東芝が大スポンサーだからだ。東芝はグループ全体で年間329億円もの宣伝広告費を計上しており、これは日本の企業ではかなり上位に入る。それに配慮して、自主規制しているというのはあるだろう。
だが、マスコミにはもうひとつ、この東芝問題に触れられない理由があった。東芝は11月にも“疑惑の本丸”といわれていた原子力事業の損失隠しが発覚したが、その問題の中心人物というのが佐々木則夫元社長だった。
じつは佐々木元社長は社内で「原発野郎」と揶揄されるほどの人物で、第二次安倍政権発足後、政権に深く食い込んで海外への原発売り込みにも積極的に関わっていた。詳しくは本サイトでも追及しているが(過去記事参照)つまり、たんなる一企業の経営問題ではなく、背後に安倍政権と原発ビジネスが絡んでいたのだ。
実はこの事件については、こうした政権との関係から検察の動きも非常に鈍い。たとえば、ライドア事件ではわずか53億円の粉飾金額で堀江貴文元社長が刑事摘発され、その他の粉飾事件でも経営幹部がことごとく起訴されているが、東芝については全く動きがないのだ。
12月末には、一部のメディアでSESC(証券取引等監視委員会)が田中久雄、西田厚聡、そして佐々木則夫の歴代3人の社長を検察に刑事告発する方針を固めたと報道されたが、予断は許さない。一応、刑事事件として捜査するポーズをとるだけで、検察で起訴猶予になるだろうともいわれている。
だが、こうした権力との癒着についても、マスコミはまったく取り上げることはない。この先も、刑事事件にならないかぎり、マスコミが東芝を追及することはないだろう。