さらに「週刊現代」は続く第5弾(5月13日号)で、A氏は警察から事情徴収を受けて「X組幹部、I氏ともに面識はある。これまで数回、一緒に飲んだこともある」と供述したと報じた。ようするに、A氏は暴力団と交際しており、DSEとの関係を知りながらフジと繋げ、また、川又氏を榊原氏に引き合わせて恫喝事件のきっかけを作ったというのである。
そして、前述のとおり06年6月、「週刊現代」の続報が続くなか、ついにフジテレビはPRIDEの放送中止とDSEとの契約解除を発表した。表向きの理由はDSE側の「契約違反」という曖昧なものだった。放送料を断たれたDSEはPRIDEを売却し、翌年07年3月、解散に追い込まれた。
だが、その一方で“暴力団とPRIDEの関係を知っていながら番組を企画したフジのプロデューサーA氏には大したお咎めはなかったという。なぜか? 実は、このA氏とは、当時フジのスポーツ局の幹部で、PRIDE中継のチーフプロデューサーだった清原邦夫氏のこと。「週刊現代」07年4月14日には、フジテレビ関係者によるこんなコメントが掲載されている。
「何年も前から清原とDSEの癒着は局内で問題氏されていて、昨年の放送打ち切り後は降格処分が下されると誰もが思っていたんです。しかし依然、彼はスポーツ局プロデューサー職にとどまっています。産経新聞の会長の甥っ子だけに、会社も切るに切れないんでしょう」
清原邦夫プロデューサーは産経新聞の清原武彦元会長の親族であり、そのため処分を免れたというのだ。実際、この報道後の08年、清原プロデューサーはフジのニューヨーク支局に異動となったが、11年に帰国、現在でもスポーツ局GMという幹部職に就いていると言われている。
もしも「週刊現代」のキャンペーン記事どおりであれば、清原プロデューサーは、報道も担う放送局と暴力団の接点となる人物である。それだけでもフジテレビの社会的責任が問われるが、しかも驚くことに、今回、榊原氏が牽引する新イベントRIZINにも、くだんの清原プロデューサーが深く関わっているという話まである。
「アサヒ芸能」(徳間書店)が、ウェブ版の「アサ芸プラス」15年8月8日付けで、「総合格闘技を人気コンテンツに成長させた立て役者」であるフジ幹部役員「K氏」が、今回のRIZIN特番の「プロジェクトリーダー」であるとしている。イニシャルにされているK氏は“海外支局に出向後、4年前に帰国してスポーツ局の要職に就く人物”と書かれており、あきらかに清原プロデューサーのことだとしか思えないが、しかも、フジは〈背に腹はかえられず、K氏に特番復活を相談したとの見方が強い〉という。
もしこの報道が事実ならば、フジテレビは、かつて暴力団との関係が指摘された榊原氏と清原プロデューサーをそのまま介して格闘技中継を復活させようとしている、ということになる。