「昼は看護師、夜はSM嬢、そして仕事が休みの日には同じ職場の同僚医師や、キャバクラ時代に知り合った外資系企業に務めるセックスフレンドと、寝る間も惜しんでセックスを楽しんでいる」
しかもこうした夫以外とのセックスは必ず金銭を伴うものだ。その理由もこう記されている。
「男というものは、相手に対して何の責任も取らないくせに、セックスをするためならば、『愛している』『好きで好きで仕方ない』などと平気で耳障りのいい嘘をつくのだから」
レイプによるトラウマやPTSDなのか。一見、支離滅裂とも思える葉子の行動様式、多くの人は首を傾げてしまうかもしれない。だが巻末にある精神科医の和田秀樹医師による解説を読むと、葉子のこうした支離滅裂で一見不可解な世界は、トラウマの精神科医の立場から見ると、腑に落ちるものばかりなのだという。
「その日から、自分の生きている世界が一変する。
人というものが基本的に信用できなくなり、過去が現在とつながって感じられなくなり、自分がこれまでとはまったく熱の世界に生きているように感じてしまう。生きていることが苦しくなり、一生涯にわたって引きこもるということさえある」
「レイプされた人がレイプされそうな場所に再び出かけていくなど、自らトラウマを招くような行為をすることがある。最近の学説では、トラウマの際に、その苦しみを和らげるために脳内麻薬は出るのだが、その依存症状態になって、さらにトラウマを求めるのではないかという考え方もある」
そう考えると葉子のこれまでの人生での行動は、集団レイプの後遺症が想像を絶するものであることを物語る。レイプは一時的な犯罪ではない。その後もその記憶に苦しみ、時には精神を蝕み、そして人生を大きく、苛烈なものに激変させてしまう。こうした実態をとくに多くの男性たちに知って欲しい。
(林グンマ)
最終更新:2018.10.18 03:09