これがまだ海外旅行者の珍しかった昔に起きた事件というのならまだしも、2010年代に起きた事件なのだから、驚くほかない。
このようなサイパン当局とのやり取りに関し、赤塚氏はこのようにまとめている。
〈TAIJIさんの死から4年を経る中で目の当たりにしたのは、海外で起きた事件については見て見ぬふりをする日本の風潮とシステムでした。
日本には、海外で起きた事件に対処してくれる機関が存在せず、邦人の身に何か起きても、正当な扱いを受けられているかどうかチェックするシステムがないのです〉
〈拘置所内で首吊りはあり得るのか、どのように脳死判定されたのか、病院はどのようにしてカルテを紛失したのか──ひとりの日本国民の死に関する謎の数々を提示しても、在サイパン領事事務所は情報開示請求にすら手を貸してくれませんでした。ただひたすらサイパン当局側のするままにさせておくだけで、検視さえ求めてくれませんでした。これは疑問符をつけられるべき姿勢なのではないでしょうか〉
ひとりのロックミュージシャンが最期に残した“謎”の数々。生前、彼を愛したファンのためにも、それらが解き明かされる日がやってくることを願うばかりだ。
(新田 樹)
最終更新:2015.12.14 11:04