また、ひとりひとりのオタクが金を使わなくなったというような話も、2004年か2013年の間にはリーマンショックによる全体的な経済事情の悪化もあり、本書であつかう「リア充オタク」に該当する10代後半から20代前半の若者が金を持っていないのは当然ではないか、という気もする。
まあ、こういう言葉はもともと、広告屋が企業にもっともらしいプレゼンンテーションをするために生み出されたマーケティング用語なわけで、そこにはかなり無理矢理な後付け解釈が入り込んでいるものだ。実際、著書の作り出した「さとり世代」「マイルドヤンキー」も、今となっては存在していたかどうかさえ怪しくなっている。
本書では他にも現代若者オタクをマトリックス図で細かく分類しており、さらにそれぞれのタイプ別に「いま求められる商品とサービス」を提案している。中には、「“ちゃんとおしゃれな”オタク向けアパレル」や「オタク向け「相席屋」」など、「3兆円市場」で一発儲けたいビジネスパーソンからすると「なるほど」と思いそうなものも多い。
しかし、一方で、マーケティング屋がロジックで捕捉できるほど、今の若者の消費傾向はわかりやすいものではないような気もするが……。
(松本 滋)
最終更新:2018.10.18 04:10