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ジュンク堂が“やり直し”民主主義ブックフェアで安倍政権に配慮か? 憲法の本を全て外し長谷川三千子の本を

〈(共産主義者の)彼らにとって「人権」訴訟は、うまくゆけばそれで運動資金が手に入るビジネスであるというだけでのことではない。「人権」の侵害を告発し、国を相手どって訴訟をするたびに──そして、それが大々的に報道されるたびに──そこには繰り返し「絶対的悪玉としての政府・国家」という幻がくっきりとうかび上がる〉

 さらに長谷川氏は、「生存権」や「知る権利」、「子どもの権利条約」「リプロダクティヴ・ライツ」(女性が子を産む・産まないなどを決定する権利)といった「新しい権利」を挙げて、〈一つの勝手な「権利」の設定による不都合を避けるために、また別の新種の権利をこしらえる、といったいたちごっこ〉だと否定し、〈いまわれわれが「人権」という名で呼んでいるものは、すべて丸ごと無効である〉と言い切るのだ。

 このほかにも、差別是正のためのフェミニズム運動を〈常に上下の対立を見出し、上にたつものを倒さねばならないとするイデオロギー〉と決め付けるなど、長谷川氏の論考は学術を名乗るには恥ずかしすぎるシロモノだ。──旧フェアは「選書が偏っている」と批判されたが、これこそまさに「偏りすぎ」の本ではないのか。

 実際、旧フェアには入らず、新フェアで新たに加えられたある本の担当編集者も、「フェアに加えてもらえたのはうれしいけれど、今回のセレクトはどうかと思う」と、選書に首を傾げる。

「長谷川氏の本が象徴的ですが、そのほかにも今回の新フェアには佐伯啓思氏や北岡伸一氏といった“安倍政権寄り”の論客の本が加えられています。その点は、声の大きいネトウヨを黙らせるためだと思うけれど、セレクトの仕方があまりに露骨すぎる。
 とくにおかしいなと思ったのは、憲法をテーマにした本がごっそり姿を消したこと。『今、民主主義について考える』んだから、議論の中心になっている憲法の本が入らないのはあまりに不自然。長谷部さんなんて、反対派の急先鋒という見方でしか捉えられていないのかもしれませんが、とても権威のある学者です。そんな重要な人の本を外して、なぜ池上(彰)さん?と不思議でならない」

 また、「なぜこれを外したのか?」と疑問視するのは、やはり古今東西の古典だ。

「カントやプラトンはもちろんですけど、トクヴィルやアーレントを外すセンスを疑います。いい本とはいえ丸山眞男や宇野重規を2冊ずつ入れるなら、そこは残そうよ、と思う。元のフェアは『偏っている』なんて言われたけれど、チョイスの幅も広くて、思想的にもポイントを押さえていた。何より、長谷川さんの本と自分が編集した本が一緒に並べられるのは、正直、複雑な気持ちです」

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