橋下が貼り付けた動画のどこを見ても、そんな発言はないのだが、いかにも真実らしくカギカッコでセリフを捏造。これを見た人たちから「そんなこと言ってないが」と突っ込みが入っても完全無視して、同内容のツイートを3回にわたって流したのである。共産党憎しのあまり平静を失っているのか、それとも、「嘘も100回言えば真実になる」というプロパガンダの基本を忠実に踏襲しているのか。敵を倒し、自分の言い分を通すためには平然とデマを流す橋下の無茶苦茶ぶりに、「さすが、デモクラシーならぬ“デマクラシー”の政治家」という声も上がっている。
ところが、これだけ橋下がデマや悪口雑言を垂れ流しても、維新有利で選挙情勢が進んでいくのが大阪の悲しさ。報道各社の世論調査をもとに、大阪政界関係者はこう分析する。
「市長選では、橋下後継の吉村洋文(維新)が柳本顕(自民)を15ポイント前後リード。府知事選では、現職の松井一郎(維新)が栗原貴子(自民)にダブルスコア、下手すればトリプルスコアもあり得る大差をつけている。もともと選挙に強く、橋下とのコンビで知名度も高い松井の圧勝は予想されたことにしても、議員歴も浅く、故・やしきたかじんとの関係で、ある意味スネに傷を持つ吉村がこれほど支持されるとは予想外やね。彼はルックスこそいいけど、知名度はほとんどなく、演説も下手。だから橋下が付きっきりで演説に回って、本人以上にしゃべってるんやろうけどね。自民の市長候補の柳本は5月の都構想住民投票で反対派のシンボル的存在になった元市議。41歳と若く、穏やかな性格で、演説も落ち着いて聴かせるから、候補者としては悪くない。だけど、周りについてる自民党の連中がいかにも“守旧派”を印象づけてしまうんやね。維新が連呼する『過去に戻すか、前に進めるか』のキャッチフレーズがうまく効いてしまっている」
しかし、それ以上に効いているのが橋下の共産党猛攻撃らしい。もともと橋下の共産党嫌いは筋金入りで、過去に何度も槍玉に上げたことがある。
「僕は酢豚のパイナップルと共産党だけは大っ嫌いなんですよ」と、手垢の付いた小学生レベルの“あるある話”で支持者を笑わせたのは2013年9月、今はなき「日本維新の会」発足を控えたパーティー。「だから、どう考えても共産党とは一緒にできませんよ。でも、石原(慎太郎)代表(当時・太陽の党)とは考え方は違うけど、まあなんとかなるかなという範囲」と、要するに石原との合流への野合批判をかわすための材料に使っている。