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9条廃止を掲げるJC=日本会議が中学校で憲法改正教育を展開! しかもNHKがそれを評価して紹介していた!

 たとえば「領土等を保全する権利及び義務」として、〈国民は、日本国の主権を保持するため、領土、領海及び領空を保全する権利及び責務を負い、国は、その義務を負う〉。また新設の「非常事態」の章では、総理大臣による非常事態宣言時には〈国民の権利を制限する措置〉がとられ、何人も〈内閣のとった措置等に基づく指示等に対して、最大限協力する義務を負う〉と記されている。

 まだある。〈国民は、国及び共同体の利害並びに世代を超えた利害等を、利他の精神をもって一体となり、解決する共同の責務を負う〉とか、「社会貢献の責務」として〈国民は、その受けた教育の成果を生かして、社会貢献に努めなければならない〉とか、とにかく“お国が第一、個人は二の次”という思想が際立っているのだ。

 さらに、保守色が濃く、日本会議の主張とも共通するものとして、〈国民は、わが国の歴史、伝統及び文化を尊重し、子孫に継承する責務を負う〉を新設。婚姻に関しても、現行憲法第二十四条にある〈夫婦が同等の権利を有することを基本として〉という文言を削除し、かわりに〈家族は、共同体を構成する基礎であり、何人も、その属する家族の維持及び関係の強化に努めなければならない〉という、父権主義的家族観を憲法の条文で押し付ける。“女は家庭で亭主の帰りを待てばいい”という女性蔑視の考えが見え見えだ。

 他にも労働者や社会的弱者の立場が法文上弱くなっていることなど、つっこみたいことは山ほどあるが、ようするに、総じてJC案では、“憲法は国民をお国に縛り付けるもの”になっているのだ。

 繰り返すが、憲法は国家権力の暴走を抑制し、国民ひとりひとりの権利を保障するためのものだ。それをないがしろにして、いたずらに「万世一系の天皇」「悠久の歴史と伝統を有する類まれな誇りある国家」を強調、尊重せよと号令をかけるのは、本気で天皇を頂点とする戦前・戦中体制の復活を目指しているようにしか見えない。

 つまるところ、こうした極右思想をもち、日本会議と関係が深いJCが、「出前授業」といって中学校に出向いているわけである。“思想の植え付け”が懸念されるのは当然のことだ。

 実際、『ニュースウオッチ9』のVTRでは、例のJCの憲法論議推進委員会副委員長・樋口氏のリードのもと、生徒たちがグループで話し合ったあとにこんな憲法前文を発表していた。

「伝統を大切にし、礼儀正しく、戦争を忘れない国となるため、憲法を制定します」
「多くの人が日本を愛し、命を大切にできる優しい人になるための憲法を制定する」

 明らかにJCの憲法に対する考え方が入り込んでいることがわかるだろう。授業後、樋口氏はNHKのカメラに対し、「日本人とはどういう人かと、そういう簡単な質問を出してですね、答えさせることで、それが結果的に些細な質問の答えが憲法につながっていく」と語っているが、ようは「結果的に」自分たちの主張と同じことを生徒たちに言わせるよう「出前授業」を進行させていたのである。

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