カンボジアについては、こんな記述もある。
「仏教国特有の温和で親切心のある国民性も素晴らしく、サービス心(人懐っこい)が旺盛というのもカンボジアの魅力の1つだ」
「また宿泊代がホテルの優劣問わず安いという点も挙げておく。チップ目的であろうがなかろうが、サービス精神がとても高く、『そこまでしなくても大丈夫だよ』と思わず言いたくなるスタッフが他の国よりも多い」
マナーがよくサービス精神旺盛な国は、日本だけではない。アジア諸国には、素晴らしい国がたくさんあるということは知っておいて損はないだろう。
ちなみに、アジアを語るにおいて、避けることのできない中国については、「別格の存在感を放っていると言わざるをえない」とのこと。
「反日感情が高いと言われる中国だが、ビジネス反日の旗を掲げる人も多く、一貫して反日の姿勢を崩さないのは首都機能のある北京くらい。中国は性格やマナーが異なる北京人、上海人、広東人というように大きく分けると3つの性質があり、さらに細かく見ていくと、気性の激しい湖南人、スマートな感覚を持つ浙江人、お金にシビアな温州人、大人しい安徽人、宗教への信仰が厚い山西人など、エリアによって考え方や気質がまったく別物となる。広東人が上海人を嫌うように多彩な感情が混ざり合っているため、一括りに中国のイメージを決め付けるのはもったいないことである」
つまり「中国人=反日」というイメージは決して正確なものではないのだ。我妻氏も「中国には中国のお家事情もあるわけで、そういう部分を知るには実際に自分の眼で見てくることが望ましい」と述べているが、日本国内で共有されている中国のイメージを盲信することは愚かな行為と言わざるをえないのだ。
日本のことだけを見て、日本国内で流通している情報だけを信じることは、世界の真実から目を背けることであり、さらには自己の成長のチャンスを逸することとなる。日本を礼賛するばかりのテレビ番組を見て、都合のいい解釈を受け入れることは、現実逃避にほかならない。ビジネスパーソンとしての成功につながるかどうかはともかく、自己肯定の妄言から脱却し、よりグローバルな視野を持つために週末バックパッカー、弾丸旅行はおすすめかもしれない。
(田中ヒロナ)
最終更新:2015.10.30 09:32