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アイマス、ガルパン、血界戦線…相次ぐアニメのスケジュール破綻はアニメ業界崩壊の前触れか?それとも…

 もうひとつは5分アニメや15分アニメなど幅広い作品の形態ができてきたことだ。こうしたショートアニメは30分クオリティの高いアニメーションを作るより少ない人数、少ない予算で作ることができる。

 短いからといって30分アニメより劣っているわけではない。テンポよく笑わせることやコンテンツの宣伝などをする上ではむしろ長いアニメを作って息切れするより短い時間に内容を詰め込んだほうが印象に残ることはあるだろう。

 また、意図的に紙芝居のような表現を取った『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』のようなアニメも現れている。

 それこそ制作現場が破綻しているだけなのではないかと思ってしまうかもしれないが、この手法は制作会社トリガーの前作『インフェルノコップ』でも用いられており、「世の中のアニメのクオリティが上がっているがそれは本当に必要なのか?」という確固たる意図のもと取られているようだ。

 この実験的手法は「一見異様だが原作の雰囲気を再現している」「ただのクソアニメ」などと賛否両論だ。しかし、アニメの売上の上限が決まっており、アニメーションのクオリティが売上に必ずしも結びつかないとするならば、どこかで制作の手間を落とすというのは確かに重要なのかもしれない。あえて音質を落とすというのは音楽の手法にもある。使い方次第で定着する可能性はあるのではないか。

 他にも、DVDやBDなどのソフトだけではなく、アニソンやミュージカルなどのライブイベントは近年生まれた新しい市場であり、これからも成長することが期待される。『機動戦士ガンダムUC』は劇場でのBD販売を実施したが、これも劇場でのアニメ鑑賞というイベントを売っていると言えるのではないだろうか。このイベント性、お祭り性によって売上を確保する手法は音楽業界でも行われており、時代の流れということができるだろう。

 日本のアニメ業界はいつか破綻すると言われ続けて何十年の業界である。つい最近も庵野秀明監督が日本のアニメは斜陽に向かっていると語ったばかりだ。だがこのままではやっていけないと何度も言われ続けながらも、メガヒット作品が出たり新しいビジネスモデルが生まれたりして生き残ってきたのが日本のアニメでもある。近年の相次ぐスケジュール破綻も業界全体が潰れるのではなく、また新しい形態に生まれ変わる前兆だと信じたいところだ。
(東池誠之)

最終更新:2018.10.18 04:23

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