実際、橋下徹や安倍晋三などはその典型と言っていいだろう。彼らは「ダブル行政の無駄」「国際社会の激変」「中国の脅威」などをことさら強調し、市民の怒りや不安を駆り立ててきた。そうした話の裏側には、都構想による無駄や安保法制がテロの危険を生むという“さらなる問題”が隠されているにもかかわらず、国民はいとも簡単に騙され、彼らを支持し続けている。
しかも、テレビで堂々と「ライト独裁」を求める声が放映され、それが支持されるようになったいま、この動きはこれからもさらにエスカレートしていくだろう。安倍首相や橋下徹の独裁の道は市民の側から用意されようとしているのかと、ため息をついたそのとき。小籔の発言を受けて、ひとり、声をあげた芸能人がいた。坂上忍だ。
「安保法案のときの採決の仕方なんかは独裁っていったら独裁の匂いもしますからね。あんなやり方」
坂上は安保法制が可決されようとしていたときにも、生放送の『バイキング』(フジテレビ)で、「(安保法案は)ぼく、大反対なんですね」「武器持たないで憲法9条持ってりゃいいんじゃないの? だって、被爆国なんだから。被爆国にしかできないことあるわけで、いまだからこそ、武器持たない日本でいてほしいなっていうのが強い想いですかね」と発言。現在進行形の独裁政治に対し、“勝手に決めるな”と意思表示していた。今回も、小籔のように安易な改革煽動や独裁者のまやかしの言葉に乗せられてたまるか、という、坂上らしい反骨心と、しっかりとした民主主義の考え方が表れた発言だった。
坂上のような存在には光を見る思いだが、しかし、残念ながら大勢はやはり、小藪の側にあるだろう。
「ライトだから大丈夫」と言っているうちに、安倍がさらにこの国の民主主義を解体し、それを引き継いだ橋下が本物の独裁を完成させる。そして、橋下の宣伝部長として引っ張りだこになった小藪が「いやいや、橋下さんの独裁は素晴らしい独裁ですから」とドヤ顔で語る……。そんな恐怖の未来は、すぐ目の前にきているのかもしれない。
(水井多賀子)
最終更新:2015.10.13 05:54