この後、運営からの強烈な須藤凜々花ゴリ推しが始まり、本稿冒頭にあげた、センター起用や、冠番組のスタートといった攻勢が始まる。最近は彼女の本の出版計画も決まった。出版元はもちろん幻冬舎である。
それまではさほど注目度も高くなかった彼女が、見城徹とのやり取りを始めて以降一気に色々な仕事が舞い込みだしたことに、ファンたちがこの流れを“枕によるゴリ推し”と揶揄する気持ちも分からなくはない。事実、彼女と同じく『第1回AKB48グループ ドラフト会議』でグループに加入した他のメンバー20人のうち、AKB48の川本紗矢、SKE48の神門沙樹・惣田紗莉渚、HKT48の山本茉央がそれぞれのグループでギリギリ選抜入りするかしないかという当落線上にいるぐらいで、須藤のようにシングル曲のセンターに抜擢された人間など皆無だ。
しかし、須藤はこの一連の枕疑惑について、鮮やかに切り返してみせたのである。それも、被害者的に弁明するのでなく、「処女です」宣言を繰り出すという攻撃的なスタイルで。実際、彼女が処女かどうかはわからないが、たしかに枕営業という単語には違和感がある。というのも、見城と須藤のやりとりを見ていると、むしろ完全に見城徹のほうが転がされている。彼女が使っているのは体ではなく、「処女です」宣言でも見せた「言葉の力」だ。
彼女が自分をアピールする方法が群を抜いてうまく、特にインタビューやSNSでの言葉の用い方が他のメンバーを圧倒するクレバーさと面白さを備えているのもまた間違いない。
いくつか例をあげてみよう。まず、実は須藤は今回の件の前にも「枕」という言葉を自身のSNSに登場させたことがある。今年5月、755に投稿された文章である。
〈昨日、私の母親に「最近色々大きなことが起こった」とメールしたら「いじめ?枕?」と極端でマイナスな返信がきて思わず笑ってしまいました〉
この投稿に限らず、755での彼女の発言の自由度は高く、〈作り物の自分を愛されるより、ありのままの自分を憎まれる方がましだ〉という、アンドレ・ジッドの名言を引用した文章を投稿する一方、〈なんて言われたら嬉しい?〉というファンの質問に対し、〈かわいいね かっこいいね エロいね〉と返すなど、そのやりたい放題具合は48グループのメンバーのなかでも突出している。