『8.12日航ジャンボ機墜落事故 30年の真相』(TBS系/8月12日放送)でも、この姿勢は同様だった。
現場に最も早くC-130が到着していた事実は報じていたが、それだけ。なぜ米軍が救助にあたらなかったのかについての言及はなく、「米軍への救助要請も検討されたが実現はしなかった」とサラリと流してしまっている。
そして、この番組にも先の林元機長が登場していた。やっぱり米軍機のことは語らなかったのだが、墜落現場については、「間違いなく御巣鷹の南東ですよ、と報告しているのですが、それがどこでどう変わってしまったのか今もってわかりません」と述べており、正しい墜落地点が伝わらなかった捜索体制へ不信感を抱いていることは伝わってきた。それだけに、米軍についての証言だけは避けているかのような対応に、余計に不自然さを感じてしまった。
事故を風化させないという観点からも、日航ジャンボ機墜落事故の番組が、この時期に作りつづけられる意味は決して小さくないだろう。
ただし、そこには二度と事故を起こしてはならないという決意と、タブーなき徹底検証という意図がなければ、単なる夏の風物詩のようになってしまうのではないだろうか。
今年のどちらの番組も、番組の端々にはその心意気が感じられるものはあった。しかし、だからこそあえて言いたい。タブーにも切り込んでくれる強さが見たかった、と。
(田部祥太)
最終更新:2015.08.15 11:24