〈戦争が終わって70年、私は今青い「空」を見上げて平和を実感し、感謝の思いに身をひたしている。
ただ、「空」を見上げるだけでいい。
戦争は、互いの人生を破壊する。
戦争は、永遠の憎しみを生む。
戦争は、心を焼き尽くしてしまう。
戦争は、生活の場や故郷、何もかもを奪ってしまう。
戦争は、あなたが人殺しになるということ。
戦争は、時の権力者の裁量で始まるが、終わりを知る者はいない〉
集団的自衛権や安保法制に批判し、その先にある“戦争のない平和の世の中”を願う。高田がここまで強く平和を訴えるのは、これまで歩んできたある壮絶な闘いにあるのではないか。とくに子どもの存在だ。
高田は03年に妻・向井亜紀との間に双子を授かった。しかし、それは通常の出産ではなく、アメリカでの代理母によるものだった。このことは当時、社会に賛否両論の大きな波紋を呼んだ。しかも、向井を「母親」とし、子どもを「実子」とする出生届を出した高田に対して、行政は分娩者を母親とする法律解釈から受理しようとせず、「実子でなく養子」扱いにしようとする法務省と間での激しいやり取りに発展。事態は裁判へ、そして最高裁にまでもち込まれた。そして、子どもたちが生まれて4年の年月を経た末、実子としての出生届は受理されないことが確定している。
高田はこの経験を通じて、社会的な問題にめざめ、さらに勉強を重ねることで、原発の問題や安倍政権の戦争政策に危機感をもちはじめたのではないだろうか。
タレントやスポーツ選手などの著名人がこうした社会的発言をすると、すぐに「芸人やスポーツ選手風情が浅い発言をするな」「政治家にでもなるつもりなのか」などといった批判が起こる。しかし、高田の発言を見ると、それこそ自民党にすり寄って政治家になろうとする他のタレント議員たちとは、関心の深さも覚悟もまったくちがう。
日本の平和があやうくなり、子どもたちが戦場に送られる事態を食い止めるためにも、高田の発言がもっといろんなところで取り上げられようになることを期待したい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2015.07.13 07:04