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「大分自宅放火」海自一尉の父親も被害者? 自衛隊内で横行するいじめとパワハラ

 また自殺ではないが、陸上自衛隊入隊して1年も経たず、20歳で命を落とした若者もいる。徒手「訓練中」の事故とされた。しかし遺族は虐待、イジメを疑い、国を相手に国家賠償請求を起こした。

「司法解剖の結果、架橋整脈という頭頂部の重要な血管が切れていることもわかった。ダメージを受けたのは頭だけではなかった。体中に多数の傷が確認されている」

 しかし自衛隊、国側はあくまで純粋な訓練中の事故だと主張を繰り返したという。現場にいた3人の自衛官たちの証言もしどろもどろで、真相を語っているとはおもえないものだった。自衛隊が出してきた調査報告書も信用できるものではない。結果、2013年に原告勝訴の判決が札幌地裁で下された。

 だが訴訟になっている事案はほんの一握りだ。またイジメ自殺以外でも、様々なトラブルが勃発している。40万円を盗んだと疑われた45歳だった自衛官は、嘘発見機にかけられ、長時間の取り調べを受け、嘘の自白をしてしまう。

「大昔の離婚歴、借金歴、女性関係──警務隊は私的なことを調べ上げて妻にばらしていた」

 USBメモリー紛失で、警務隊から土足で家宅捜索された隊員もいる。陰惨なイジメ、酷い仕打ちに鬱病を発症したものも──。まさに、パワハラ、虐待のオンパレードなのだ。

 しかし、考えてみれば、それは当然のことかもしれない。そもそも自衛隊は戦闘の前線に行かないだけで、れっきとした軍隊だ。暴力の行使を目的とした組織は必ず、その暴力性を外部だけでなく、内部に向かわせていく。しかも、自衛隊は悪名高き旧日本軍のメンタリティを受け継いでいるのだ。鉄拳制裁が当たり前で、世界の軍隊の中でも桁外れに過酷といわれていた暴力支配。満州で関東軍が国民を見捨ていち早く逃亡したことに象徴されるような、上層部の無責任体質。まさにイジメや虐待が生まれる条件がすべてそろっているのだ。

 しかも、こうした状況は集団的自衛権の容認によってより拍車がかかるだろう。「しんぶん赤旗」によるとアフガニスタン、イラクの両戦争に派兵された自衛官の中で、自殺者が2014年3月末時点で少なくとも40人にものぼることが報道されている。これは国民平均に比べ約3~16倍、自衛官全体と比べても約2~10倍の高い比率だという。

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