安保法制で加速する自衛隊内のいじめ・パワハラ問題(海上自衛隊ホームページより)
大分県杵築市で5歳から14歳の子ども4人が焼死した痛ましい事件。自宅に放火したとして逮捕されたのは、海上自衛隊1尉、末棟憲一郎容疑者(40)。焼死した子どもたちの父親だ。事件当日、燃え盛る一軒家を前にして「俺が悪かったんだ!」と泣き叫んでいたという。
末棟容疑者は、取り調べで「職場で悩みがあった」と供述しているが、その悩みは海上自衛隊のパワハラだったといわれている。
海自の幹部職員である末棟容疑者は、今年3月、山口県下関市から広島県江田島市の標的機整備隊へ異動したばかり。単身赴任だった。整備員への教育計画を立てる立場だったが、上司の二等海佐からいじめに等しいパワハラを受けていたというのだ。
「週刊文春」(文藝春秋)も7月16日号で、さっそくこの問題を取り上げ、海自関係者のこんな証言を掲載している。
「最近、標的機隊のトップである指令(二等海佐)のパワハラが問題となっていたのです。部隊の幹部クラスにうつ病気患者が多発していると。相当にひどい状況だと認識していました。実は末棟もそのひとりで、上層部に相談をしていたのです」
現在、警察が事実関係を調査中だが、少なくとも、海自で働くなかでなんらかの職場トラブルがあったことは間違いないだろう。
自衛隊という組織は、その閉鎖的環境などから、いじめ・パワハラによる被害が絶えない。これまでもそれらが原因とみられる自殺者を多数だしてきた。
本サイトも過去に、自衛隊内でのいじめ・パワハラ問題の実情を何度も指摘してきたが、安倍政権がすすめる安保法制が成立すれば、自衛隊員ひとりひとりへの負担は飛躍的に大きくなり、これまで以上に、いじめ・パワハラが増えるのは確実だろう。つまり、殺害されるという肉体的リスクに加えて、精神的負担による被害リスクが自衛官を襲うわけだ。