はたして、日本は安倍首相と日本会議の思惑通り、「安倍談話」「参議院選挙」を経て、なし崩し的に「大日本帝國」の時代に突入してしまうのか?
先の「L’Obs」は一人だけ、それを押し止めることのできる存在について触れている。それは……。
〈81歳の天皇、明仁だ。……新年の祝辞で、天皇は歴史捏造主義的な歴史解釈に反対であると述べた。……逆説的に皇室は、今や、日本の自由民主主義の最も優れた盾となっている〉
しかし、残念ながらこれは希望的観測と言わざるを得ない。日本の右派勢力、日本会議が崇拝する天皇とは、リベラルな今上天皇ではなく、「理想化された大日本帝国の頂点に君臨する現人神」だ。「大日本帝国」を否定する者が現れれば、たとえ天皇だろうと、彼らは排除してしまうだろう(本サイトが以前記事にした八木秀次のように)。
すでに安倍政権を動かす「日本会議」は新たな動きを見せ始めている。昨年の10月1日。日本会議と密接に関係する団体が設立された。「美しい日本の憲法をつくる国民の会」である。本稿の冒頭に名をあげた新安保法制を合憲だと主張する3人の憲法学者、百地章、西修、長尾一紘も役員として参加している。
興味深いのは、同組織の共同代表に、日本会議代表委員の田久保忠衛が就任していることだ。
田久保といえば、以前から安倍晋三と深い関係にある人物で、第二次安倍政権が始まってからは、さらにその距離を近づけている。次回は、この田久保の存在を中心に、安倍政権を突き動かす力がどのような方向へ行こうとしているのかを見ていきたい。
(森高 翔)
最終更新:2016.06.21 02:17