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なぜSMAP中居くんは「結婚できない」アピールをするのか? 風俗好きリア充の過去は…

 しかし、中居くんはそのどれでもなく、逆に「結婚無理」「恋愛気持ち悪い」とこじらせることで、「高齢アイドル」の新たなロールモデルをつくろうとしている気がするのだ。それは、10代のアイドルが恋愛のにおいを隠すのとはまったく意味がちがう。自らの男性性を消し去ってしまおうとするその姿勢は、むしろ、マツコ・デラックスに近いとさえ言えるだろう。たしかに、マツコになれば、年齢や性別を超越して、いくつになってもアイドルで居続けることができるのだ。

 しかも、この戦略はマーケティング的にも正しい。マツコに限らず、坂上忍や有吉弘行と、今、テレビ界を制圧している人気バラエティタレントはいずれも、普通の恋愛や幸せな家庭に背を向けた、孤独な私生活のにおいがする人物ばかりだ。

 みんなが孤独なこの時代、ほんとうの孤独を抱えた者だけが、大衆の嫉妬や反感を買うことなく、その存在を肯定され、その言葉を受け入れられる。ひょっとしたら、中居はそのあたりの時代の空気感も察知して、「結婚に向いていない中年」という「孤独」を演じているのかもしれない。

 中居正広という男が恐ろしくクレバーなのは、司会業における頭の回転の速さなどからも、誰もが認めるところ。それぐらいの時代の先読みはしていてもおかしくないだろう。 

 実際、中居は少し前、雑誌のインタビューでこの「結婚無理」というキャラが「ネタ」であることを認めている。

「女の子ネタを解禁した後、次のカラーは何か無いかと探していたとき、年齢も年齢だし、結婚かと」「アイドルというモテるジャンルなのに、女性を避けようとするんですよ。面白くないですか?」(「TVガイドPERSON」14年12月号/東京ニュース通信社)

 ただ、この「結婚できないこじらせ中年」というのは、まったくの嘘で演じられる話でもない。それがブランディングだとしても、現実に孤独な生活を強いられるし、事実、中居正広はどんどん本当に結婚からも恋愛からも遠ざかっていっている気もする。

 孤独を背負ってもなお「アイドル」をまっとうしようとしている中居正広は、はたして新しいロールモデルになれるのか。頭頂部にも目配りしつつ見守りたい。
(新田樹)

最終更新:2015.12.21 11:45

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